インタビュー: BBY NABE - 日本中を捉えながら、自分であり続ける。



東京で活動するMC・BBY NABE。
その感性を基にジャンルはもちろん、歌もラップも横断し、注目される若手MCの中でも異質な存在感を放つ。
Lil'Yukichi&NoconocoフルプロデュースのEP制作、Redbull Music "RASEN"への抜擢、EDMプロデューサー・banvoxやANIMAL HACK & BUNNYとの共演、有望な若手を集める『O.B.S』最新作へのフィーチャー…
その飛躍的なスピードで捉えようとするものは何か。

「自分は絶対に日本でHIPHOPが通用しないとは思わない。ただ、だからと言って、海外と価値観も違う中で同じようにやったとしても難しい部分もある」


主な登場アーティスト(順不同):
Gokou Kuyt、SEEDA、Lil'Yukichi、banvox、R.I.K、BENXNI、SUICIDE RYUSEI、Matt Cab、MATZ



 
"anymore"ヒットまでの軌跡


─音楽に興味を持った背景について教えて下さい。
 
BBY NABE:
元々アメリカに住んでた子供の頃、親と一緒に教会に行って賛美歌とかを歌ってました。
その後小学生ではピアノを習ったりもしましたが、その時はそこまで音楽大好き、みたいな感じではなかったです。
それから高校生になってカラオケが好きでよく歌ったりもしてたんですが、その頃友達にバンドに誘われてボーカルやりました。
高校3年生の時には学祭でライブして「ああ、楽しいな」とは思ったんですけど、それも本格的にやるって感じではなかったです。
 
それで高校を卒業してからYoutubeを観てた時…たぶん2018年とかでしたけど、
ちょうどMIYACHIさんの"Bad & Boujee"(MigosのREMIX)が流れてきて、やべーめっちゃカッコ良いじゃんってなりました。
日本語と英語の使い回しが上手いバイリンガルラップに惹かれたのもありますし…あとMVに出てくる場所が、僕の住んでためっちゃ地元で親近感も湧いて。
それで自分もやってみようってなったのがラップを始めたきっかけですね。
なので自分が昔やってたラップは、特に今みたいなメロディラップ感のない、憧れから入った感じでした。
 
 
─2018年にラップにハマって、2019年3月にはもうサブスク配信の1作目となる"sunset"(2019年3月)が出てますね。
 
 
 
BBY NABE:
あの曲はまだ作った曲としては10曲もないくらいのときのやつですね。
その前からSoundcloudで曲を幾つか上げてて、お遊びじゃない曲としては"STARTER"が最初です。
 
BBY NABE · 『STARTER』
 
 
これとかはもうiPhoneのイヤホンで録音して、Garagebandで編集して、みたいな感じでした笑
 
 
─その辺りや、のちに触れる"anymore"なんかのビートは全てタイプビートで?
 
BBY NABE:
そうですね、ほとんどタイプビートです。
一番入りやすいですし、タイプビートは文化としてかなり大事だと思います。
 
やっぱりトラックメイカーからビートを貰ってバッチリハマるのが理想ではあると思うんですけど、
必ずしも全部のトラックに合わせて自分の気に入ったメロディで歌えるかって言うとそうでもないので。
そういうときにタイプビートで遊びながらまず作ってみる、みたいな使い方は大事だと思います。
 
 
─それはプレイヤー側の意見として大事ですね。
 タイプビートについてはトラックメイカーが〇〇Type Beatしか作らなくなって文化が死ぬ、みたいな論争もあったりしますが、それはあくまで外からの視点なのかも。
 
BBY NABE:
自分としては悪い感情全くないですね。
タイプビート自体は、恐らくクラウドラップの流れもあると思うんですけど、割とシンプルでチープな作りのものが多いと思います。
でもだからこそ、プレイヤーが「自分もやってみよう」って思えるきっかけになるし、リスナーも難しくなくて聴き易いんだろうし、それは大事かなって。
 
自分もリスナーの立場からしたら「〇〇Type Beatばっかりじゃねえか」みたいな思いもあったりするのは分かりますけど、
やってる側からすると、きちんとトレンドの音を掴めて、すぐやれるみたいなところがあるし、それで盛り上がるならひとつの文化として貢献してるんじゃないかなって思います。
 
あとはさっきも少し話しましたが、あるトラックメイカーと曲を作る、みたいな時にもタイプビートは凄く役立ってます。
まず自分が好みのタイプビートを探して、自分でメロディやフローをボイスレコーディングで録ります。
その時にメロディががっちりハマると大体良い曲になるんですけど、そのままタイプビートに乗せて完成させるとどうしても安っぽい感じにはなる。
そんなときにその音を原型としてトラックメイカーに渡し、2人で元となった曲から新しいサウンドの曲に作り直すことも出来ます。
 
 
─結局ビートが〇〇Typeだろうと、ラップやその後の味付けでオリジナルになりますもんね。
 その意味だと、BBY NABEさんが一気に知られるきっかけになった"anymore"(2019年7月)は代表的な1曲ですが、
 この曲は出したときに「絶対売れるな」って確信があったんですか?
 それとももう少し軽いノリで出したら想像以上にバズった感じ?
 
 
BBY NABE:
当たり前だと思うんですけど、アーティストは自分の曲は大好きだから出すって大前提があります。
その中でも"anymore"はかなりメロディとかが自分の中でもハマった感覚があって、
完成したあと電車の中でもずっと聴いてるし、寝る前も「あの曲良かったな、絶対出そう」って思うみたいな感じでした。
 
それでまずはSoundcloudに上げたんですけど、最初はそこまで伸びなくて。
ただじわじわと1,000回、2,000回って再生されて、気付けば10,000再生されてた、みたいな。
それで自分もこの曲のMVは撮りたいなと思ってたので撮って出してみたら一気に…って感じです。
その時はインスタやTwitterのフォロワーも全然いなかったんですけど、あの曲のティーザーをツイートしたら結構伸びたりして。
それでどんどん広がっていった感じですね。
 
 
─めちゃめちゃマーケティングを頑張ってヒットした…みたいな感じじゃないですね。
 
BBY NABE:
ですね。
多分ですけど、タイミング的に上手いことみんなのYoutubeのお勧めに上がったりしたのかなとも思います、全然知らない人からもコメント付いたりしてたので。
あとはあるカメラマンの方が「anymore dance」っていうのを作って遊び始めて、それが有名なラッパーやインフルエンサーに踊ってもらって広まったって言うのはあります。
 
自分で何か戦法とかがあった訳じゃないです笑
今となってはまだまだ伸びて欲しいと思いますが、あれがひとつ伸びてありがたかったのは間違いないですね。
その後も色々RASENに出たり新宿のユニカビジョンに出たりって動きもありますけど(共に後述)、やっぱりこの曲があったからこそだし、反響も一番大きかったなと思います。


躍進の始まり…RASEN、Lil'Yukichi、SEEDA


 
─その後2019年11月にはいきなりRed Bull Musicの企画「RASEN」に出た訳ですが、それも"anymore"のヒットがきっかけだったんですか?
 
 
BBY NABE:
いや、それがちょっと違くて。
元々あの回のRASENには別のメンバーが予定されてたんですよ。
それが出れないことになってしまって、それでRed BullさんがあのRASENのビートを作ってたYukichiさん(Lil'Yukichi)に「誰か良い人いない?」って聞いて。
それでYukichiさんが「こんな話があるんだけど、やる?」って持ち掛けてくれて。
それで「全然やりたいです、お願いします」って言って実現した感じです。
 
 
─あ、Lil'YukichiさんとはRASENのときに知り合ったんじゃないんですね?
 
BBY NABE:
もうずっと前ですね。
"anymore"を出すよりも前です、『Tonight』(Lil'YukichiとNoconocoプロデュースによるEP、後述)も1年くらい掛けて作ってますし。
出会った時の動画があるんでそれ見ればわかるはず………あった、2019年2月10日ですね笑
 
YukichiさんとはSEEDAさんがきっかけで繋がったんですよ。
SEEDAさんとクラブで出会った時に凄く気に入ってくれて、「明日ブリッジ(THE BRIDGE YOKOHAMA)でライブあるんだけど、ショットライブしに来ない?」って誘われて。
で行ったんですけど、僕はバックDJがいないんで、SEEDAさんに曲の入ったUSBを渡したら、「今日は彼がDJやってくれるから」って紹介されて。
自分は誰かも知らずに「よろしくお願いします」って言ってライブしたんですけど笑
その時のライブを友達がインスタのストーリーに上げてくれたんですよ。
そしたらそれを見た友達から「やべえ、バックDJがLil'Yukichiじゃん!」ってリプがめっちゃ来て、「あ、この人がそうなの!?」ってなりました笑
もちろん名前は前から知ってたんですけど、どんな人かは知らなくて。
 
その後TwitterでLil'YukichiさんをフォローしてDMで挨拶させて貰いました。
その流れで「もっと自分が成長したら一緒に曲やりたいです」って言ったら、「いや、もうやろうよ、来週どう?」って言われて。
その時にNoconocoさんのスタジオに行ったら、「じゃあ3人で作ってみようよ」ってなって作った1曲目が"Tonight"です。
で、みんなで「おーこれめっちゃ良いじゃん、来週も集まろうぜ」ってなってEPの『Tonight』の制作が始まりました。
 
それからもう1曲作って、自分は学校が始まったりしたので翌月、翌月…って感じで制作を進めていって。
そこからミキシング、マスタリング…と過程を経ていくと、結果的に1年くらい掛かったって感じでした。
凄く貴重な経験でしたね。
 
 
─そうだったんですね。『Tonight』については後ほども改めて伺いますが、
 まずはその前にそれぞれシングルで"Pink Sweet"と"With U feat. monvmi (現sheidA), Lil Cotetsu & SUICIDE RYUSEI"が発表されました。
 どちらもBBY NABEさんの特徴である歌と恋愛的な要素が出た曲ですが、この2曲について伺えますか?
 
BBY NABE:
"Pink Sweet"については"anymore"の後に考え始めて。
やっぱりHIPHOPと言っても扱う内容がドラッグや犯罪みたいな話ばかりじゃなくなってきたと思うし、
そういうハードなところ以外の要素で、あんまりHIPHOPが好きじゃない人にも届くようなものを作りたかった。
"anymore"がヒットしたあとのタイミングでもあったので、もうひとつそんなカップケーキ的なかわいい曲があっても良いかなと思って作りました。
ただ自分のスタイルがああいう曲に留まってる訳ではないですし、あくまでその時の思いとしてあのタイプの曲を用意した、って感じですね。


 
─マス層にも自分のHIPHOPを届けたい、という思いでしょうか。
 
BBY NABE:
そうですね、そこはあります。
別に自分は一定層だけのリスナーがいれば良いとは思っていなくて、幅広く聴いてくれる人たちがいてくれたら嬉しいし。
いわゆる狭いジャンルの中だけに留まるつもりは…って感じです。
 
別に僕自身はギャングでBang bangって感じでもなくて、普通の人なんで。
普通の人だけど何か自分の思いを伝えたくてクリエイトする存在なので、その立場から届けたいです。
 
 
─"With U"については?


 
BBY NABE:
いつだったか忘れましたけど、凄いデカい台風が来る、みたいなときがあったんですよ。
で、ニュースでも避難して下さいみたいに言われていて、それで「俺らも集まってこの台風乗り切ろうぜ」みたいな感じで、友達の家に集まったんですよ。
それで集まったのがSUICIDE RYUSEIの家だったんですけど、夜中に「曲作ろうぜ」ってなって。
そしたらRYUSEIがビート出してきて、「これめっちゃエモいな」みたいになりまして笑
まあなんでもエモいって言い方は好きじゃないですけど、でもそんな状況だからめっちゃ感情的な曲になった感じです。
 
あの曲はみんなそれぞれの当時の思いが詰まっていて、個人的に大好きな曲ですね。
 
 
─じゃああの日その部屋にいたメンバーが"With U"の客演陣、ってことなんですね。
 
BBY NABE:
そうです。
だからHOOKで自分が歌ってる「We just stcuk in a room, waitin’ in this typhoon, 雨が当たる窓ガラスにlight」っていうのはそのまんまのことですね。
窓に雨が当たって光が反射して…みたいな、その時の情景です。
 
そんな曲だから1日で録りました、レコーディングは2時間も掛かってないですね、そのあとRYUSEIがミックスして…みたいな感じです。
 
 
─で、この2曲のシングルの後に、先ほども話に出たLil'Yukichi・Noconocoと共作で作った『Tonight』が出ると。
 BBY NABEさんは「夜」のイメージがありますが、この作品はその感じが前面に出た作品になってますね。
 
BBY NABE:
自分自身その時は夜遊びが大好きで、夜についての話がしたいって雰囲気だったので、そういう感じになりましたね。
 
 
─"Stay Dreaming"には唯一の客演としてGokou Kuytが参加していますが、この人選の理由は?
 
BBY NABE:
この曲は元々ビートが送られてきたものの中々自分が時間を取れなくて、家でリリックを書いてちょっとレコーディングしたって感じだったんですけど。
ビートが送られてきた時点で「絶対これはKuytくん呼んで、Hookやラップも半分ずつ分けたらハマるな」って思いました。
で、以前クラブで会った時にKuytくんとは彼のバックDJが共通の知り合いだったので挨拶はしていて。
その時にKuytくんも"anymore"を聴いてくれてて…実はサンクラに上げた方にコメントもしてくれてるんですよ笑
 
そんなところで繋がってたので、この曲を持ちかけたら「いいじゃん、やろうよ」ってなりました。
それで一緒にスタジオ入って作った感じです、Kuytくん以外はいないなと思ったのでやれて良かったです。
 
 
─この『Tonight』の後にも色々動きがありましたが、自身名義としてはまず"SKRT feat.BENXNI"(2020年6月)が出ます。
 『Tonight』の雰囲気を受け継ぎつつも、夜から朝に抜けるような疾走感が印象的な素晴らしい曲ですが、ここで自分で試したかったことや、作品の狙いは?



BBY NABE:
この曲は…実は今度出すアルバムからのリード曲って位置付けです。
それこそ新型コロナウイルスで家に引きこもってた時期で、毎日タイプビートを聴きまくっては1日1曲くらい作る、みたいなペースで制作をしてたんですけど。
その中で"SKRT"の原型になるタイプビートが見つかって、めっちゃ良い感じのサビが出来たんでプロデューサーのR.I.Kくんに送ったんですよ。
そしたら、タイプビートでやってたときは凄くチープな印象もあったんですけど、R.I.Kくんが仕上げたらめちゃめちゃ良い感じの曲に仕上がったんです。
別に音数がめっちゃ増えてるとかじゃないんですけど。
 
 
─客演したBENXNIについては?
 
BBY NABE:
BENXNIは(BENXNIの所属する)STARKIDSに友達がいるんですけど、そいつから「こいつはマジでヤバいから聴いとけ」って推されてたんですよ。
それで聴いたら「やばっ」ってなって。
で、実際に会った時、めっちゃギャングな奴が来るのかなくらいに思ってたらすごくhumbleな人で笑
それで2人で話して、「いつか絶対曲やろうぜ」ってなってその時は別れました。
で、"SKRT"が出来て2 Verse目どうしようかなってなってた時に、なんか自分でやってもつまんないし、
客演入れるなら…って思って、BENXNIなら絶対ヤバいの書いてくれるなと思って渡したらやっぱ間違いないのくれましたね。
 
 
─確かに、疾走感というか爆発力が凄い曲になってますもんね。
 
BBY NABE:
ライブでやりたい、早くライブしたいっすね。
自分は2月以降ライブしてないんで。
再開する人も出てきたし、自分もそろそろやってもいいのかな?とは思ってるんですけど、
中途半端にやっても仕方ないなって思って誘いが来ても断らせて頂いてます。
 
 
─それは人数制限や仕切りがある中ではやりたくない、みたいな?
 
BBY NABE:
んー、もっと単純に、なんの気兼ねもなくなったときに全力でやりたいって感じですね。
やっぱ人も亡くなってる中で、自分も結構(感染とか)気にする方なんで。
気にしながらやるよりも、全力でみんなで暴れたいですね。
 
 
─その後、現時点(2020年9月)で最新作の"Himawari"(2020年9月)が出ます。
 この曲はラップもありつつ、ほぼバラードに振り切ってますが、この曲を作ることになった背景は?
 プロデュースを務めたMatt Cabとの出会いからでしょうか。



BBY NABE:
まずMatt (Cab)さんとの出会いの経緯について言うと、自分の知り合いにDJのDope OnigiriさんとDJ YUTOさんがいて、2人と自分で曲を作ることになったんです。
その際に(『SEX  IS LIFE』などで知られるシンガーの)YOSHIとかが使ってるスタジオを借りることになって。
で、レコーディングしてから、MATZさんっていう主にEDM系のプロデューサーがいるんですけど、彼と出会って。
セッションが終わってから10分くらいで「曲作ってみない?」って言われて、やりましょうってなったんですよ。
それでビートを幾つか聴かせて貰って作ったのが"Shooting Star"って曲なんですけど。
 
それが終わった後に「またやろうよ」って話になったんです。
それで幾つかビートを聴いてる時に、MATZさんがあるアーティストのコンペに出す曲があるんで、それの歌詞書くのを手伝って欲しいって言われたんですよ。
某女の子のアイドルグループの曲のコンペにだったんですけど、選ばれなくて。
でもめちゃくちゃいい曲が出来たし、そこから作詞作曲のプロセスにも関わるようになったんです。
 
そうした中でMattさん主導のプロジェクトに関わることになって、初めて出会った、って流れでした。
 
 
─なるほど。そこから"Himawari"まではどうつながったんでしょう?
 
BBY NABE:
あれも元々コンペ向けに出した曲だったんですよ。
それが韓国の超有名なグループのやつで、選ばれてたら今頃超お金持ちになってたみたいなやつなんですけど笑
で、その時2曲出して、ひとつはポップス、ひとつはバラードで、後者が"Himawari"だったんですよ。
 
自分の中では「めっちゃ良いのが出来たしこれ選ばれるっしょ!」みたいに思ってて……でも選ばれなかったんです。
「なんだよそれ、悔しいな」ってなったんですけど、別にこれは人の為に作ったというよりは自分の曲みたいな感覚で作ってたやつだったんで、
まあHookとブリッジ以外は全部変えたんですけど、それでMattさんに「もう1回やりたいんで(トラックを)送って下さい」って頼んで、受けて貰ったって感じです。
 
なので元々はコンペに出して悔しかったから出来た曲です笑
 
 
─じゃあ別に「今後BBY NABEは歌メインでやります!」とかそういうことではない?笑
 
BBY NABE:
そうですね、あくまできっかけで出来たものなんで。
それこそ"Himawari"みたいな曲を出すことはもう二度と無いと思います笑
とは言えもちろん自分はあの曲はイケてると思ってるからやってる訳ですけど。
こうしてコンペや作曲の依頼も頂いてる中で、アーティストとして色んなジャンルの音を聴いたり、自分でも挑戦してみるってのは凄く大事だと思うんで…って感じです。
 
まあ最後のキーチェンジや転調など、"Himawari"は悪い意味に取るならJ-Pop感もあるかもですけど。
でもだから尚更日本人の普通の層に届いて、それがきっかけで他の曲も聴いて貰って、自分の作品に芯が通ってることを分かって貰えたら嬉しいかなって感じです。
 
だから別に今後は歌メインになる訳では全くなくて…むしろ最近作ってる曲なんですけど、久しぶりにゴリゴリにただのラップやりてえなってなったりもして。
それもMV撮ることになったんで出ると思います、いつかはわかんないですけど。
 
 
─色々クロスオーヴァーにやってく中でのひとつだったと。
 
BBY NABE:
はい、それこそ恐らく次に出る曲はEDMですね笑
EDMの中でめっちゃラップしてるんでスタンスは変えてないですけどね。


日本でHIPHOPはどう生きるのか


 
─EDMやオルタナティブとHIPHOPのクロスオーヴァーは特に若い世代ではっきりと潮流が出来てますね。
 
BBY NABE:
それこそ自分はこないだ(HIPHOP出身のEDMプロデューサーである)banboxさんの『DIFFERENCE』(2020年)にも2曲参加して。
あれはbanvoxさんがHIPHOPをベースとしたアルバムですけど、最後にEDMのドロップが入ったりもしますし。
それこそ俺的には色んなジャンルの音楽をやらないと損だし、つまんないというか、飽きちゃう笑

 
自分は絶対に日本でHIPHOPが通用しないとは思わない。
ただ、だからと言って、海外と価値観も違う中で同じようにやったとしても難しい部分もあるし、日本人の耳だから…みたいな部分もある。
でも自分が特に大事だなと感じるのは、エネルギー的な部分の問題ですね。
 
 
─ここでのエネルギーの問題というのは?
 
BBY NABE:
シンプルに、若者の持ってるエネルギーってことです。
自分はロックとかあまり詳しくないですけど、それでもやっぱりロックは「若い」エネルギーとか、反抗的な態度や爆発的なエネルギーがあったりすると思う。
 
HIPHOPでも、自分もそういうエネルギーを、クラブで自分が沸かせてたり、自分が観てる側で沸いたりするときに感じます。
特にHIPHOPの場合って、単純に一番自分の言葉を歌詞に込めれるじゃないですか。
だからこそ音も含めて色んな表現方法があり得るし、自分を出すツールとして凄く大事なものだと思います。
 
その結果出てきたものが、外の人から「それはHIPHOPはじゃない、ラップじゃない」と呼ばれるなら、それでも別に構わない。
それなら俺は別にラッパーだって呼ばれなくても良い。
自分のやりたいこと、伝えたいことをきちんとエネルギーを込めてやって、それが刺さる人に届く、っていうのがしたいことですね。
そうやってみんなも自分のしたいことを突き詰めていって、エネルギーを込めてやった結果、HIPHOPが日本でどんどん広まっていけば自分としては凄く嬉しいなって思います。
 
そういう気持ちでやってるからこそ、自分はもっと有名にならなきゃいけない、って思ってます。
 
 
─良い意味で、別に「これがリアルなHIPHOPだぜ!」みたいなことにこだわってるつもりはないと。
 
BBY NABE:
ああ、もう全然ないです!笑
別に自分はドラッグやったり銃持ち歩いたりしてる訳でもない、ただの引きこもりなんで笑
自分から好んでクラブに通いまくるような人間でもないので。
自分と同じような人にも届くようなものがやれたら良いです。
 
もちろん、いわゆるヘッズみたいな人たちがいるからこそ、
まだ売れてない時の自分とかもディグって掘り出して貰ったと思ってますし、
別にそこからセルアウトするぜ、ってことでは全くない。
 
でも実際にマーケットとして普通の人たちが大多数を占める中で、この人たちに届くようなものを作る、というのは大事なことだと思ってます。
海外でもそうじゃないですか?
USのラッパーたちも、マーケットのトレンドを見て、その時々に応じてラップスタイルを変えていく。
その意味で自分は別に「俺はこのスタイルにこだわるぜ」みたいなのがある訳じゃないです。
自分も文化的な状況によってやりたいことも変わっていくし、音楽の手段も変わっていく。
その中で、それでも変えない自分の芯を持っておいてブレずにやっていく、というのが大事かなと。


日本を捉える為の、これから


─その流れで今後の動きも聞いていこうと思います。
 まずはまさにマス向けの大きな動きとして、2020年8月31日-9月6日に掛けて、新宿のユニカビジョンでBBY NABEさんの楽曲が放映されましたね。
 
https://www.yunikavision.jp/information/20200827_004673.html
 
 
BBY NABE:
あの話は本当に僕もビックリしたんですよ笑
なんかもう普通に朝起きたらメールが来てて。
こういう特集をユニカビジョンでやってるんですけど、BBY NABEさんの特集をさせて下さい、みたいな。
 
最初は詐欺だと思ったんですよ笑
いや、凄くプロフェッショナルなメールと添付書類が届いたんですけど、だっておかしいじゃないですか。
ユニカビジョンのその特集、僕の前がKing Gnuさんで後がRADWIMPSさんなんですよ、なんで合間に自分なんだっていう笑
だから親や周りに言っても全然信じてもらえなかったんですよ笑
告知が出るようになってやっとみんな「ほんとだったんだ…」ってなってきたんですけど、
今度は「結局あとから50万円振り込んで下さいって言われるんじゃないか」って説が出てきて笑
自分でもそうだったらどうしよう、って思ってたんですけど、自分が実際ユニカビジョンを観に行った時に企画担当者の人に声を掛けられまして。
そこで初めて会って挨拶して話してたら、その方から「いや全然お金とかじゃなくて純粋に取り上げたかったんですよ」って言われて安心しました。
「なんだよ、俺ただ得しただけじゃん」みたいな笑
 
 
─やっぱり反響は大きかったですか?
 
BBY NABE:
めちゃめちゃありましたね。
音楽仲間からはもちろん、別に音楽で繋がってる訳じゃない中高の友達からもめっちゃ「観たよ」って来て。
たまたま友達が歩いてたら俺が映って「あ、あれ私の友達!」みたいなことになったりとか。
やっぱりああして周りから反響があるときはやってて良かったってなりますね。
 
 
─ユニカビジョンしかり、最近はどんどん色んなところで見つかって爆発して来てる感じはしますね。
 
BBY NABE:
いや、まだまだ全然って感じです。
自分ではもっともっとやんなきゃって思ってますね。
 
 
─その為の材料が次のアルバムになる?
 
BBY NABE:
そうですね。
でもまだアルバムも自分としては出したくないな、と思ってて。
もっと色々完璧に詰めてからじゃないと…って思ってるんで、いつ出せるかはまだ未定です。
 
 
─現状言える範囲の情報を教えて貰えますか?
 
BBY NABE:
そうですね、ビートに関しては全て("Pink Sweet", "SKRT"などを手掛けた)R.I.Kくんがプロデュースしてます。
客演については自分で言うのもあれなんですけどめっちゃ豪華な感じになってます笑
まだ隠しときたいんでちょっとまだ未公開でお願いします笑
 
 
─了解です笑 アルバムを出した後の動きについては?
 
BBY NABE:
今は何も具体的には決まってません。
ただもっと大きな客演もしたいし、プロジェクトも関わりたいし……けど最近考えてることは、レーベルやチームって大事だなってことです。
自分でも全然やれますけど絶対どこかで限界が来るし、将来的なこととして考えないとなって思います。
 
まあとにかく、もちろんお仕事って側面もありますけど、自分と一緒にやってくれたり、自分を見つけて聴いてくれたり、
取り上げてくれたりする人がいるっていうのにただただ感謝です。
こんな僕をありがとうって感じで、これからもよろしくお願いします。


以上 (2020/09/26)
───

BBY NABE 『Tonight』(2020/03/20)

1.Star
2.Stay Dreamin feat. Gokou Kuyt
3.Tonight
4.Drunk
5.Goodbye



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