インタビュー: MV監督になる為に必要なことは? │ HIYADAM, LEX, 明日香キララ…Nasty Men$ahが捉える映像と音
音楽業界においてMVの存在感は日増しに高まっている。2020年に日本レコード協会が発表した音楽ソフトユーザの調査報告によると、音楽を聴く手段として最も多くの人々に利用されたのはYoutubeで54.9%。これはストリーミングサービス(26.1%)など他の手段を大きく引き離す結果だ。
そんなMVが持つ重要性が高まる中で、そのディレクションを行うMV監督の役割も大きくなり、より一層のブランド化が進んできた。日本のHIPHOPにおいても近年、アーティストが誰であるかと同じくらい、「誰が撮ったか」が重要になることが増えている。Spikey John, 國枝真太朗, Sekaiseifukuyameta, スタジオ石…MV監督・撮影スタジオの名がこれだけフィーチャーされることはこれまでなかったと言って良い。それだけ「誰が撮ったか」が重視されるのはひとえにマーケットの拡がりや、そこでの差別化の必要性を示すものでもあり、従ってこの世界に可能性を感じ、新たに飛び込もうとする人たちも多いことだろう。そんな中、今回PRKS9は日本のHIPHOPシーンを代表するMV監督の一人・Nasty Men$ahにインタビューを実施。PRKS9のYoutubeチャンネルで公開したLEXxOZworld “NEVER LOSE”を撮影したのも彼だ。LEXやHIYADAM, OZworldから菅田将暉や明日香キララまでその画角に収めたクリエイターは何を映してきたのか。そして、日本のHIPHOP MVを撮影するにあたって必要なことはなんなのか。
「10代の世代を撮る機会が多いんですけど、この世代の子たちは圧倒的に『撮られ慣れてるな』って感じます」
アーティストとは異なる角度から光を照射することで、日本のHIPHOPの今が見えてくる。
Nasty Men$ahの2020年フィルモグラフィー(PRKS9調べ):
Yo-Sea “Runnin feat.Young Coco” (2020/1/29)3House “You” (2020/3/23)
ホリエモン & CEOセオ “NO TELEPHONE” (2020/3/28)
HIYADAM “NIGHT TIME IN TOKYO” (2020/5/1)
Shurkn Pap “諸行無常” (2020/5/3)
Kohjiya “17!!” (2020/5/8)
Gottz & MUD “Cook Good” (2020/5/15)
Yohji Igarashi “Empty Room feat.HIYADAM & Kemy Doll” (2020/5/25)
JAZEE MINOR “CryBaby” (2020/6/9)
NOA “TAXI feat. tofubeats” (2020/6/12)
VILLSHANA “Chupa Chups feat. HIYADAM” (2020/6/28)
Gottz & MUD “Adrenalin” (2020/7/10)
HIYADAM “Slo Mo” (2020/7/29
菅田将暉×OKAMOTO’S “Keep On Running” (2020/8/7)
HIYADAM “Zzoom Zzoom feat.Shurkn Pap” (2020/8/14)
DJ CHARI & DJ TATSUKI “Best Way 2 Die feat. Jin Dogg, LEX & YOUNGBONG” (2020/8/18)
Leon Fanourakis “NO LIGHTS / TOBASE!” (2020/8/21)
AK-69 “Speedin’ feat. MC TYSON, SWAY, R-指定” (2020/8/26)
(sic)boy,KM “Ghost of You” (2020/9/30)
HIYADAM “Wavy Base” (2020/10/1)
ASOBOiSM “PRIDE” (2020/10/16)
LEX “WORLD PEACE feat. OZworld & JP THE WAVY” (2020/10/21)
SOMETIME’S “Honeys” (2020/11/5)
PEAVIS “Carrying You feat. YonYon” (2020/12/9)
LEX x OZworld “NEVER LOSE” (2020/12/11)
登場する主なアーティスト(順不同):
P. Diddy, HIYADAM, LEX, OZworld, 菅田将暉, ホリエモン, 明日香キララ, TERIYAKI BOYZ, キングギドラ
P. Diddy好きのラッパーがMV監督になるまで
─本日はよろしくお願いします。
Nasty Men$ah:
よろしくお願いします、Nasty Men$ahです。
北海道出身なんですけど、2019年末くらいから東京に住んでます。
2019年から本格的に映像制作の仕事が忙しくなってきて、北海道と東京の行き来が難しくなってきました。
そのタイミングで東京に出てきた感じですね。
─絶好調ですもんね。
元々映像制作に興味を持ったきっかけは何だったんですか?
Nasty Men$ah:
小学校のときに父親が毎週末映画に連れて行ってくれていて。
それで漠然と「映画撮りたいな」と思ったのが中学の頃でした。
どの映画を見てそういう思いが芽生えたのかとかは全然覚えてないんですけど、個人的にはベタですが北野武映画が凄く好きで。
やっぱり今見ても『座頭市』とかはビジュアル的にも新鮮ですね、時代劇なのに金髪で、カッコ良いし。
─そこから本格的に映像を学び始めたのはいつ頃から?
Nasty Men$ah:
中学の頃は漠然と思ってただけで、具体的に学び始めたりとかでは全くなかったです。
高校を卒業して地元の映像専攻のある専門学校に入ってから、本格的に映像制作について勉強しました。
むしろ16歳くらいからはラップをやっていて。
リリック書いて友達とライブしたりするのがメインで…その頃は「映像とかも作りたいな、いずれ」くらいの感じでした。
─でもそこから「ラッパーとして生きる」じゃなく「映像の専門学校に進む」って、重大な決心ですよね。
Nasty Men$ah:
そうですね、親には言ってたので。
自分は勉強も出来ないし、大学でやりたいこともなかったので、映像の勉強がしたいとはずっと前から言っていたので分かってくれてました。
むしろラップやってたことの方が20歳くらいまでは言い出せなかったですね笑
─一方で、HIPHOPに興味を持ったきっかけは何だったんですか?
Nasty Men$ah:
自分は3人兄弟の末っ子で、兄貴の影響で何でも好きになってたんです。
自分が小学生くらいのときにパンクロックブームが来たときも、長男の影響でSUM41とかGREENDAYとか聴いてたんですけど。
そんな中、小6くらいのときに、JAY-ZとLINKIN PARKの『Collision Course』(2004年)が出て。
LINKIN PARKの方の入口から入ったんですけど、聴いてみたらJAY-Zがめちゃくちゃカッコ良くて、そこからHIPHOPばかり聴くようになりました。
そこからはずっとUSのラップを聴いてました。
特にNYの…NASとかその辺もなんですけど、自分は特にBAD BOY FAMILYを率いてたP. Diddyが好きで、アルバムを全作持ってる唯一のアーティストです。
─「Biggieが好き」「2PACが好き」みたいなのがメインな中で、「P. Diddyが1番好き」は珍しいですね。
Nasty Men$ah:
そうですね、ラップやってた当時の友達からも「Diddyばっか掘ってる奴は珍しい」って言われました。
なんならワックなイメージじゃないですか。
でも自分は見た目バキバキに決めてる人が好きだったし、音で聴いた時に(大ネタも多くて)聴き易かったんですよね。
自分は英語分かんないですけど、ガツガツしたギャングスタラップじゃなくて入りやすかったなと。
─日本のHIPHOPは聴かなかった?
Nasty Men$ah:
最初はそうですね。
入りがDiddyやJAY-Zだったせいで、どうにも日本のHIPHOPのサウンドが入ってこない部分があって。
当時唯一聴いてたのはTERIYAKI BOYZでした。
彼らはやっぱりNIGOさん指揮のもと海外のプロデューサーを呼んで、海外のサウンド水準でやってたので馴染みやすかったです。
でも自分でラップをやり始めてから時代を遡ってキングギドラとかも聴くようになったんです。
そしたら、自分が知らないだけで日本のHIPHOPもカッコ良いんだって分かって色々聴くようになりました。
─両者に興味を持って、MV Directorとしてキャリアを始めることになった経緯は何なんでしょう?
Nasty Men$ah:
映像学校に入ってからもラップは続けてたんですけど、そんな中、北海道の自分の周りでは「ちゃんとした映像が撮れる」人が今より少なくて、HIPHOP界隈では探してる人が多かったんですよ。
今だとiPhone 1台でもMVをそれっぽく撮れちゃいますけど、当時はそうでもなくて、ちゃんとしたビデオカメラを持ってて編集も出来る、って人材が少ない時代でした。
そんな環境だったので、先輩から「MV撮れないの?」って言われたり、HIYADAMとも「MV撮ってみる?」って話になったり、自然とそういう話が来るようになって。
だから自分で「MVを撮りたい!」と思って始めたりと言うよりは自然と始まった感じですね。
─いまお話にも出たHIYADAMさんとは現在もタッグを組んでいる仲ですが、元々の出会いはどんなものだったんですか?
Nasty Men$ah:
自分がラッパーとしてデイイベントを打ってた時に客としてやってきたのが、当時中1くらいのHIYADAMでした。
その時はそんなに話した訳じゃないんですけど、しばらくあとにそのイベントを共催してた友達から「SNSでこんな動画を送ってきた子がいるんだけど」って紹介されて。
それがHIYADAMがフリスタしてる動画で、めちゃくちゃ上手いんですよ。
それで「この子、イベントに出してみる?」「いいんじゃない?」ってやり取りを経て、イベント経由で繋がったのがきっかけでした。
だからHIYADAMが(第3回)高校生ラップ選手権に出る1-2年前くらいですかね。
そこからHIYADAMもどんどん階段を駆け上がってくし、やってるうちにMV撮るのが楽しくなってきたのでどんどんやってる感じです。
「ラッパーによっては現場に数時間遅れで来るとかあったりしますけど、LEXたちはそういう部分の意識が凄く真剣で」
─そこからキャリアを積み上げ、今回LEX x OZworld “NEVER LOSE”の撮影を務められました。
LEXさんとは何度か撮影されてますが、Nasty Men$ahさんから見たLEXさんはどのような人ですか?
Nasty Men$ah:
LEXくんとは“ALIEN”のMVを撮ったのが最初で、それからDJ CHARIさんの“Best Way 2 Die”、そしてLEXくんの“WORLD PEACE”を撮ったから…LEXくんとやるのは今回の“NEVER LOSE”で4回目くらいなのかな。
でもLEXくんは…“ALIEN”を撮った約1年前と比べて、まず背が伸びましたね笑
「成長期なんで」って言われて、そうかまだその若さか、みたいな。
でも彼はやっぱりめちゃくちゃ落ち着いてるし、人間的にも売れる理由が分かります、これからもっと伸びていくんだろうなと。
撮影に関してもあれくらいの年代だとディレクションをちゃんと聞いてないとかあったりしますけど、そういうこともなくて。
人の意見をしっかり聞いて、ちゃんとアクト出来る。
やっぱりラッパーによっては現場に数時間遅れで来るとか、そもそも来ないなんてこともあったりしますけど、彼はやっぱりそういう部分の意識が凄く真剣ですね。
─OZworldさんも同じく”WORLD PEACE”以来となりますが、どのような印象をお持ちですか?
Nasty Men$ah:
やっぱりOZworldくんもLEXくんと同じになります。
アーティストとして凄く真摯であり、礼儀正しいっていう。
そして2人共に共通することですけど、カメラが回ったときのパフォーマンスが凄まじいです。
あとで編集するときも、どのアクションもカッコ良くてどれを切り取るか迷うくらいで。
結構若いアーティストの場合はカメラの前で緊張しちゃって、アクトを指示しなきゃいけないことも多いんですけど、この2人に関しては自然に全部出来ていて、プロですね。
─なるほど。そんな2人と”NEVER LOSE”のMVを制作するにあたって、意識したことは何でしょうか。
Nasty Men$ah:
MVのイメージ自体は僕の方で全部イメージを企画として決めさせて頂いて。
このMVについては世界観がイメージしやすかったので、感覚的に出来ました。
気を配ったことと言えばVRのゴーグルです。
実は色々と時間の制限もあって、ちゃんとしたゴーグルの調達が間に合わなくて。
自分が急遽買ってきたゴーグルにLEDを仕込んだりして、元はチープだったゴーグルをいかにカッコ良いものにして映すか、ということには神経を使いました。
あとは本当にLEXくんとOZworldくんの力量に依るところが大きいです。
2人のゴーグルは、実際には何も映ってなくて真っ暗闇で、その中でリップシンクしてもらっていて。
そんな中で僕からは「色々な仮想空間が見えている風に動きを付けて」とだけディレクションしたんですけど、そうすると色んな動きや表情を見せてくれるんですよ。
そうした彼らのアクションのプロな部分にはかなり助けられています。
─そのゴーグルの話しかり、MV撮影において大事なのって着想や予算もそうなんですが、あと一歩上積みをする為のアナログな創意工夫であることも多い印象です。
例えば良い画を撮るために、そこにたまたまあったブロック塀をカメラの下に挟んであと少しだけ角度を変える工夫みたいな。
Nasty Men$ah:
まさにそうですね。
DIY精神というか、撮影でも編集でも、限られた条件であと一歩乗り越えて良いものを撮る、そこを楽しめるかどうかって凄く大事だなって思っています。
─2020年はかなりのフィルモグラフィーでしたが、これまでのMV制作の中で印象的なアーティスト・エピソードなどあれば教えて下さい。
Nasty Men$ah:
そうですね…例えば菅田将暉さんのMVは印象に残っています。
自分は映像制作会社に所属してる訳でもないので、地元で撮影してたときは基本的に1人で撮影して、1人で小道具を用意してロケハンして、って感じだったんです。
そういうときと比べると、この仕事が一番関わる、動かすスタッフの数が多い仕事でした。
自分の考えた企画でこれだけの人たちが動いてるんだ…って思うと現場に入ってから緊張しちゃって。
自分なんかの企画で申し訳ない…みたいな思いがその時はあって、振り払うために飲み物を用意したり、機材を片付けたりスタッフ的な仕事をして気を紛らわせてました。
そしたら誰も僕を監督だとは気付かなかったんですけど笑
あとはHIYADAMの“Wavy Base”という曲のMVが印象に残ってますね。
このMVはこっちに来てから出会ったスタイリストさんやメイクさんと、アイデアを出し合いながら全員野球で作った作品だったので。
10コーデ準備して、メイクも変えて、ロケーションも複数用意して…ってやった作品で、個人的には今年撮った作品でも一番気に入ってるかもしれません。
編集もバキバキでギミックもたくさん仕掛けられてます。
─変わったところではホリエモンさんのMVなんかも撮ってますよね。
Nasty Men$ah:
そうですね、堀江さんのMVと明日香キララさんのMV、この2つは札幌に住んでたら出来なかっただろうなと思う、キャッチーな仕事ですね。
このお2人の仕事は、どちらとも共演しているCEO セオさんという方から頂いて。
堀江さんも舞台にも出てるし、なんにでも興味のある方だと思うので、MV撮影に関しても意見をよく聞いてくれて。
「こうしたら良いですよ」ってディレクションするとすぐ反映出来るし、パフォーマンス能力の高い方なんだろうなと思いました。
明日香さんも同じで…カメラに映ることについては誰よりも撮られ慣れてる方なので、普通の人とは圧倒的な差を感じましたね。
─これだけ幅広く撮影をされてる中で、何か「HIPHOPとMV」という観点で感じられることはありますか?
Nasty Men$ah:
自分は(sic) boyくんやLEXくん、Kohjiyaくんみたいに10代の世代を撮る機会が多いんですけど、この世代の子たちは圧倒的に「撮られ慣れてるな」って感じます。
自分が映像を撮り始めたころの世代って、やっぱり動きにまだ照れがあったり、外でゲリラ撮影すると周りを気にしてぎこちなくなったりすることも多かったんですけど。
でも今の世代の子たちは…あるいはLEXくんたちが特別って部分もあるかもですけど、やっぱりインスタとかで「自分を撮る/撮られる」ことに慣れてるんだと思う。
だから自分のカッコ良く映る角度とかをよく理解していて、ディレクションもあまり必要なかったりすることも多いです。
もちろん10代でも人によっては緊張する子もいますけどね。
自分もやっぱり「自分を撮る」ってなるとどんな顔して映れば良いのか分からないし笑、旅行とかに行っても「よし自撮りするぞ」とはならないんですけど、10代の子たちはそこを当たり前にやってるので、(アティチュードを磨く)鍛錬になっているのかも、と思います。
そこは上の世代がどうこうとかじゃなくて、明確に世代間で違いがありますね。
「納得いくのが出来なくて」 「機材がなくて」ってうだうだ言ってやらない人がいるんですけど、その中でなんとか工夫してやり切って、数をこなすというのが大切
─ここからは技法的なお話も伺おうと思うのですが、普段使用している機材を教えて貰えますか?
Nasty Men$ah:
カメラは2つ使っています。
ひとつはソニーのα7 III, もうひとつはBlack MagicのBMPCC4Kです。
あとは撮りたい質感によって、古いテープのカメラや8mmのカメラを使うこともあります。
─なるほど…これから映像を撮りたい人たちにおすすめの機材ってありますか?
Nasty Men$ah:
これからMVを撮る人たちが使うためのエントリーモデルとしては、上でも挙げたソニーのαシリーズがよく出てくる名前ですね。
ただ、入り口として使う機材は極論iPhoneで全然良いんじゃないかって僕は思います。
自分も「iPhone11でMVを撮る」みたいな企画でiPhoneだけでMVを作ったこともありますし、感想として「全然使えるな」って思いました。
最初はあまり機材にこだわり過ぎずにやってみるのが良いと思います。
たぶんカッコ良い映像に必要なのって、機材そのものとかよりは自分自身のアイデアなんですよ。
極論、めちゃくちゃ粗い映像だったりしてもいくらでもカッコ良く見せるアイデアはあるので。
限られた機材の中で「どうすれば良い映像が撮れるか」を考えて磨くのが凄く大切だと思います。
それを突き詰める中で「やっぱりこういう機材が必要だ」と思えばそれだけ買い足していけば良いかなと。
自分もOsmoっていうスマホにくっつけて使う機材だけで作ってた時期もあったりして。
それだけで作ったのがHIYADAM “FACK#”でした。
さすがに今見ると恥ずかしいところだらけなんですけど笑、でもこういう限られた条件でアイデアを捻ってやり切る、みたいなのは凄く大事だと思いますね。
このときの自分は撮影がヘタクソだったので、その分編集をかなり頑張って補いました。
─そうやって編集できっちりカッコ良い映像に仕上げる為に大切なことって何でしょうか。
Nasty Men$ah:
曲のリズム感に合わせることですね、自分はMVを作る際にはそのことしか考えてないです。
ビートのキックの部分に合わせてカットを変えたり、あるいは上ネタの方がメインなときはそっちの展開に合わせてカットを変えるとか。
自分は編集中ずっと軽く踊りながらやってます笑
それくらい、どうリズムと合わさってカッコ良い映像になるか、っていうのだけを考えてる。
やっぱりMVである以上、いかに映像で曲のグルーヴを表現するか、というのが大切だと思います。
─逆にMVを制作する中で、これはやるべきではない、と確信していることはありますか?
Nasty Men$ah:
品がない映像になることだけは絶対に避けた方が良いと思います。
例えばカッコ良い風景…綺麗な夕焼けが撮れたからってその場面をずーっと流すとか。
そういうことをやりたくなる気持ちは分かるんですけど、やっちゃうと物凄く下品になる。
カッコ良く撮れた絵ほどなるべく出さないように編集の際に気を付けています。
その方が本来のカッコ良さもインパクトも際立つので。
─日本の…主にHIPHOPシーンにおいて、MV Directorとしてキャリアを積む、平たく言えば売れる為に大事なことは何だと思いますか?
Nasty Men$ah:
「自分はどういう強味を持った映像作家で、どういうことが出来るのか」をちゃんと理解して、きっちり発信していくことが大事だと思っています。
やっぱり昔に比べるとMV Directorの数ってめちゃくちゃ増えてる。
制作会社にちゃんと所属するとかもありますけど、単純にフリーでカメラを持って映像を撮れる、って人が増えてるので、そんな中で普通にやってても仕事って来ない。
自分が何において突出してるのか、何に強味があるのか理解して、そこを推していくことが大事だなと。
自分だったら編集にこだわっている点であったり、ラップをしていたのである程度アーティストの考えるリズム感・グルーヴ感に寄り添って映像を作れる点であったり。
そこのブランディングがめちゃくちゃ重要だと思うので、Instagramとかの使い方は大切にしてますね。
自分はインスタにポストする動画は結構厳選しています。
ストーリーとかはまた別ですけど、ポストして表示するものは一目で「僕っぽいもの」だと分かるものだけを投稿しています。
─なるほど、自分のブランディングを大切にすることが大事だと。
そうなると「自分らしさが見える作品以外は撮らない」みたいな選択肢もアリですか?
Nasty Men$ah:
いや、まずはがむしゃらに撮り続けることが大事だと思います。
自分も最初から分かって自覚的に今のスタイルになった訳じゃなくて、撮り続けてるうちに「これはNasty Men$ahくんぽいね」って言われるようになってきたので、最初から意識しなくてよいと思います。
がむしゃらに撮る中でちゃんと分析していけば、自ずと見えてくると思います。
─じゃあ「納得いく作品以外はクレジット入れない、世に出さない」みたいなことよりは、数をこなすべきだと。
Nasty Men$ah:
そうですね、たぶん自分の映像に100点が出たと思えることなんてないと思うんですよ、僕はそう感じたことないです。
結構ラッパーにせよMV Directorにせよ、「納得いくのが出来なくて」 「機材がなくて」ってうだうだ言ってやらない人がいるんですけど、これまでに言った通り、その中でなんとかやり切る方法なんていくらでもある。
工夫してやり切って、数をこなすというのが大切です。
僕自身もまだ有名だと思っていないので、お話を頂いた仕事はスケジュールや予算が合えば基本的に受けさせて頂いています。
その意味でまだ「数をこなす」段階の真っ最中ですし…30代になったらもう少し落ち着きたいな、とは思ってますけどね。
しばらくはまだまだ自分も撮り続けようと思います。
─ありがとうございました。
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