インタビュー:SILENT KILLA JOINT, dhrma & rkemishi - 全て乗り越えた先の景色





アルバムとはいきおいアーティストの半生や経験、思索が凝縮された結晶と言えるが、SILENT KILLA JOINT & dhrmaが発表した『DAWN』はその意味で「アルバムにして出す意味」が詰まった作品だ。

特にSILENT KILLA JOINTのこれまでを振り返ると、"BlAqDeViL"の攻撃的なスタイルでラッパーとしての人気を確立する一方、YouTuberとしても活躍、2017年からは2年以上の服役…どれかひとつだけでもアーティストのアイデンティティを構成しそうな要素が複数絡み合うキャリアを築いてきた。
それを全て呑み込んで曲に還元出来てしまうあたり、SILENT KILLA JOINTというラッパーの規格が窺える。

そしてこれらの経験を経た才能が、アルバムサイズで全てを吐き出すとどうなるか。
そこには考え方やリリックスタンスの変化、仲間への想い、作品制作への姿勢…全ての変遷が詰まっている。
そんな彼の想いをビートで浮かび上がらせるdhrmaとの連携もあって、『DAWN』は非常に重厚で語り口の多い作品となった。

アルバムを企画したrkemishiも交えてのインタビューとなった今回。
3人が語る、本作への込められた思いを是非知ってもらいたい。








登場する主なアーティスト(順不同):
KAKKY, BES, MILES WORD, WILYWNKA, HARDY, MU-TON, GAGLE, Kzyboost, J Dilla, Madlib



「どうやっても懲役行く」からこそ音楽に没頭した



─本日はよろしくお願いします。
 まずはSILENT KILLA JOINT(SKJ)さんについて…2019年の出所後、精力的に制作・リリースが続いています。
 服役中に何か考えていたこと、感じたことなどはあったのでしょうか。

SILENT KILLA JOINT:
自分は逮捕されたのが2016年10月で、それから保釈で2016年12月から収監される翌年3月まで外に出てきてたんですけど。
その間にソロのEP1枚と、KAKKYとのクルーであるSquad Wordsで…ビートはdhrmaでEPを作ってて。
もうどうやっても懲役行くってのは分かってたんで、「それならこの3ヶ月、仕事も辞めて曲制作に没頭しよ」って思ってやったんです。
それで作った曲たちやったんですけど、本気出してやってみたら結構上手いこといけそうな気がしてきて。

そう感じた時…それまでは若さゆえの破壊衝動みたいなものを全部曲にぶつけてたのが、もうちょっと人としての抑揚を表現してみようって思ったんです。
やっぱり自分も人間やから上がり下がりがある中で、この下向きな…自分の弱いところをさらけ出されへんのはリアルちゃうかもなって。
そう思ってもっと弱さや優しい言葉、人間の深層心理、みたいなところを意識して制作するようになりました。
刑務所に行ってからも…色々心が傷む出来事があったりしたんですけど、それも含めてリリックを書き続けて。

そうして外に出てきたとき、仲間が色々用意して待っててくれてたんです。
元々自分が収監される前、MILES WORD x OLIVE OIL "At The Time"のビートで録ったアカペラを「誰かこれにビートを乗っけてくれ」って残していったんですけど、それにdhrmaがビートを付けてくれて出来たのが"Sick Time"で。
収監中にも「dhrmaがやってる」と手紙で知ってはいたんですけど、実際に出てきて聴いた時に、やっぱり人の温かさや情ってものを凄く感じたんです。



"BlAqDeViL"のときとかは、反骨精神とか「今に見とけよ」って感じが強かったんですけど、やっぱり色々あった中で、そんなに攻撃的じゃなくても良いんじゃないか、って思うようになりました。



─じゃあ収監前にアーティストとしてのスイッチが入った感じですね。
 2017年に収監されてからの2年間はかなり悶々としていたのでは。

SILENT KILLA JOINT:
そうですね、差し入れのOllie読んでてWILYWNKAがCarharttのモデルやってるのを知ったりして、「あいつが…!」みたいな笑
他にも、僕が外にいたときはラップしてなかったHARDYが高校生ラップ選手権で優勝したのを知って「あいつってラップやってるんや」とか笑
そういうのを知って、俺もやりたい、早く曲作りたいって思いは凄くありました。



─"Sick Time"もあって、dhrmaさんとSKJさんで組んで『DAWN』を作ろうみたいな話は出所後すぐに出てきた感じ?

dhrma:
いや、そこはそんなことないですね。


SILENT KILLA JOINT:
元々僕は、dhrmaのビートって自分の周りでもシーン全体でも、他に誰もおらへん「dhrma」ってジャンルのビートを作る人間やと思ってて。
dhrmaの真似をちょっとしようとしたらもうdhrmaのパクリになっちゃうみたいな。
だから完全にオリジナルやし、なんなら日本一のビートメイカーちゃうかくらいに思ってるんです…あんまり本人の前でこんなこと言ったことないですけど笑


dhrma:



SILENT KILLA JOINT:
自分好みだし、聴いてる音楽が近いんやろなって聞かなくても分かる。
J DillaとかMadlibみたいなデトロイトの音…加えてデトロイトテクノやハウス、ファンクの要素も入ってきたりする、みたいな。



─dhrmaさんのビートは凄いですよね。
 基軸が00年代のBoom Bapだとは思うんですけど、油断するとワブルベースも鳴り出すみたいな笑

dhrma:
ずっとSTONES THROW周辺のアーティストを聴いていた中で、段々デトロイトの…テクノにあるHIPHOPとは別のカッコ良さみたいなところにも惹かれて感化されました。
だからデトロイトテクノとHIPHOP、2つのジャンルの重なるところを表現したい、というスタンスでいます。
HIPHOPのカッコ良さとテクノの無機質さ、それを合わせられるようでありたいなと。



─お2人は聴いてる音楽も近いってことでしたよね。

SILENT KILLA JOINT:
まあそうなんですけど、(積極的に聴かせ合うというよりは)たまに好きな曲とかをアップしたりするとdhrmaが反応してくれて、って感じです。
僕は結構育ちが悪いんですけど、dhrmaは別にそんな悪い育ち方じゃないし…だから普段からめっちゃ遊ぶんかっていうと、そういう訳じゃないもんね。


dhrma:
そうですね…まあ僕がずっとビートを作ってたい人間なんですよ。
だから「遊ぶ」ってなったときに相手がオニオンくん(SKJ)とかだと、遊ぶ内容が自然と曲制作や撮影になっちゃう、って感じだと思います。



─そこで曲制作を重ねるうちに、今回の『DAWN』の制作が持ち上がった?

SILENT KILLA JOINT:
きっかけ自体はエミシくん(rkemishi)が声を掛けてくれたことですね。
エミシくんからP-VINE企画で作らへんかってお話貰ったんで「じゃあ組んでみたい奴がいます」ってことでdhrmaに連絡して「やりましょう!」って返事貰ったみたいな。
当時dhrmaは超忙しいみたいな話も聞いてたし、さっき言った通りめちゃくちゃ遊ぶ訳でもなかったからちょっと声掛けづらかったんですけど、でも一方で「こいつとはいつか一緒にやるんやろな」って確信はあった。
そのきっかけをエミシくんが作ってくれた感じです。



俺も暇じゃないんで、しょうもない奴に構う暇はない。
SKJとdhrma、この2人ならって思った。



─rkemishiさんとしては、今回声を掛けた理由はなんだったんでしょう。

rkemishi:
俺のレーベルから誰の音源を出すかって話になったとき、真っ先に名前が挙がったのがSILENT KILLA JOINTだったんです。
俺、こいつはちゃんと日本語でラップしてると思ってて。
なんかカッコ付けて英語ばっか使ったりする「お前の歌詞、日本語にしたら半分くらいに減るんじゃねえの?」みたいな奴とかいるじゃないですか。
その点こいつのラップは、日本語を大切にラップしてる気がして、凄く好きなんですよ。
アーティストとしての動きも、年下だけど俺より凄いことをしてると思ってる。
だから「俺が誘ってやった」と言うよりは、「俺のレーベルに協力してくれない?」ってお願いした感じに近いですね。
俺も暇じゃないんで、しょうもない奴とかに構う訳にはいかない。
こいつなら間違いないっしょって思ってたし、dhrmaのビートももちろん前から知ってたんで、「この2人なら」って思いました。



─rkemishiさんとSILENT KILLA JOINTさんの繋がりはいつからですか?

SILENT KILLA JOINT:
俺は元々ディグって「エミシくんヤバい」ってなってて。
そんなときに…すげえしょうもない話なんですけど、俺が「中野にラスタでマカロニパスタ食べよ」ってツイートしたらエミシくんが反応してくれて、それが初コンタクトでした笑
そこから繋がっていって、エミシくんのリリースライブにも遊びに行ったりして…って感じです。


rkemishi:
俺がお前のこと最初に知ったのはバトルだったよ。
なんかお前と誰かのバトル動画にいきなり俺がタグ付けされて、「なんで?」って思って見てみたら…お前が俺のリリック引用してたんだよな?


SILENT KILLA JOINT:
そうです、2019年にLEGALIZEでやったK-razyとの試合ですね。
この試合は出所直後やったんでまだちょっと人をDisるみたいなマインドが残ってるときで…今はもうないんですけど。
そのときのDisの流れで「お前と俺じゃ水と油」ってエミシくんのラインを引用しました。





─ちょっと思ってたのは、rkemishiさんがGREEN ASSASSIN DOLLARさんとowlsを組んでいるから、今回も1MC 1Beatmakerの布陣にしたのかと。
 これまでのお話を聴いてるとそういう訳ではないんですね。


SILENT KILLA JOINT:
エミシくんが好きって言うのももちろんありますけど、僕も元々そういうスタイルは好きやったんで。
それこそ(THA BLUE HERBの)BOSSとO.N.Oとか…あとGAGLEとか。
だからこれまでもSULLENと作ったり、OGRE WAVEと作ったりしてたので。


rkemishi:
俺は1MC 1Beatmakerが理想だよっていうのは結構周りにも言ってることで。
単純に色んなビートメイカーに連絡とって制作進めるのって大変だし、1人のビートメイカーと突き合わせて作る方が、そいつへの投資にもなって良いと思うんです。
逆に言うとそれくらい投資する価値のある奴を見つけなきゃいけない訳ですけど。

でも、言ってもそれが出来る奴ってあんまいないんですよ、やっぱりグループとかでワーッと作った方が楽じゃないですか。
でもこいつ(SKJ)はそれがずっとそれが出来てる。
それはやっぱり何かを持ってるってことだと思います。



全部dhrmaにコントロールされてたんかもしれへん



─なるほど…ではここからアルバムのお話に入らせて下さい。
 まず、冒頭の"Intro"からしてラップ調の語りとビート、そしてその鳴りの凄さに圧倒されます。

SILENT KILLA JOINT:
僕もあれが届いたとき「なんやこれ!」と思って、その場にいた全員にAirpod付けて聴かせました、ヤバいですよねあれ。
ちなみに…この曲の冒頭に僕の語りがありますけど、これは自分がSULLENと組んで出した『2020』(2020年)の最後の曲 "Late"からエディットしたものです。




dhrma:
結構アルバムを作り始めた頃から「この曲のビートや声を『DAWN』に使えへんか」みたいなアイデアはあって…結局アカペラだけを使った形です。
だから『DAWN』はこの『2020』からの、続きというか。


SILENT KILLA JOINT:
これまでの作品から関係性を持たせようって意識はありましたね。
『DAWN』ってタイトルも、僕が2016年に出した"Think Feel Pt. 2"のMVで、最初に出てくる文字なんです。



そしてこれに限らず「DAWN」って文字はどこかに出てきたりしていて…例えば2人でアルバムを作るってなったとき、(まだタイトルも決まってない中)dhrmaがSNSにこの単語を使って投稿していたりだとか。
そんな経緯で、2人ともこの単語を知っている、そしてどこかで使ってきた、みたいな共通認識を持ってた。
今回のアルバムでは2人の共通認識を抽出する、みたいなところは意識しましたね。



─2人の共通認識を抽出する…その意味では、例えば"XXL SMOOVY MOOVIN'"は、dhrmaさんの『moov smoov moovin'』(2019年)のオマージュになっていますね。



dhrma:
これは僕が送ったときは"Leave, Left"って曲名だったんですよ。


SILENT KILLA JOINT:
そう、僕がオマージュして元の曲名を変えて付けたものですね。
そういうお互いの知ってることなんかを持ち寄って作品にすることで、それが何十年後かにでもまた新たな意味を持って新しいものが生まれる。
そんなことを目指したいなと思ったんです。
無理に全部に意味を持たせるつもりはないですけど、お互いが気付いた何かを持ち寄った内容になってます。



─結果的に「DAWN=夜明け」というタイトルが色んなことを示唆するものになってますもんね。
 その意味では"E.L.E"は特に、「いい時間にいい音でラップをする、人の心を動かすのは簡単じゃない」というラインが印象的だったりと、"BlAqDeViL"の頃とは違った温度・質感を持った今作を象徴している気がします。



SILENT KILLA JOINT:
そうですね、この曲は心情や、音楽的な変化を象徴してるかもしれないです。
元々『Refuse not to Be cool』(2019年)の頃から、ヴァースもHOOKも「余裕を持つ」ことを意識して曲を散りばめていて。
それはやっぱり…dhrmaと一緒にいる中で、dhrmaのビートの余白の部分、抜きが凄いと思うんですよ。

ラップについても同じく、僕は「抜き」があるラップって好きなんです、スピットしてちょっと間を置く、みたいな。
それは心情的にも、常に牙剥いて攻撃姿勢でいる、みたいな感じじゃなくて良いやん、っていうのもあって。


dhrma:
ビートの「間」については…『DAWN』を作るとなってから新しいビートを作っては(SKJに)送り続けてたんですけど。
その時に意識していたのはオニオンくん(SKJ)の二面性…普段めっちゃ明るくて楽しい性格やけど、やっぱりどこかに深みがある…それを夜から明け方に見立てる。
そんなことを考えて作ってました。
だからオニオンくん、インスタライブで「『DAWN』は一番優しくなれたし一番激しくなれたアルバム」って言ってましたもんね。
僕、それ聞いて「良かった」と思いました。


SILENT KILLA JOINT:
うん…俺もいまそれ聞きながら、「全部dhrmaにコントロールされてたんかもしれへん」って気付いたわ笑
ほんまにAll Produced by dhrmaや。

まあ実際、dhrmaが求めてるものがちゃんと理解出来てたんじゃないかってのはあります。
いっちゃん最初にビートが送られてきたときかな、dhrmaに「俺にこの音で何を歌って欲しいとかある?」って聞いたら「いや、特に」って返ってきて。
それで逆に「これはdhrmaに『この音を理解してみろ』って試されてるんかな…?」って思って。
だから毎回ビートをめちゃくちゃ聴き込んで…リリックを何度も書き直した曲もありますし、この音で何を伝えるのか、っていうのはめちゃくちゃ考えました。



─そうしたラップアプローチ、その裏にある心情の変化もあって、ある種の穏やかさ・余裕が漂う内容になっていますよね。
 例えば"Smoke Mo"はアンチ風営法ものですが、これも「バビロン倒すぞ」みたいなものよりは「俺のこともうほっといて…」みたいなテンションというか。
 
SILENT KILLA JOINT:
バビロンをちゃんと知ったら、「意味なく盾突くんはやめとこ」ってなりますね。
そこも含めて慎重になりましたし、それが余裕として作品に出てると思います。

"Smoke Mo"自体は…俺が夜中に「とにかく煙たいビートが欲しい」みたいなテンションになって、dhrmaに「とにかく煙いのちょうだい」って言ったらこれが送られてきました。
どちらかと言うと大阪な感じの曲ですね、なんか陽気に「悪いもんちゃうで!」って言ってるような。



お互い地元も離れてるし育ちも違うけど、似てる部分は多い


─この"Smoke Mo"から"XXL SMOOVY MOOVIN'", "Middle Finga"まで、中盤に掛けてはアンチバビロンで攻撃性のある曲が増す構成になっています。



dhrma:
"XXL SMOOVY MOOVIN'"は(攻撃的と言うよりも)破滅的な部分が強く出たものになってると思います。


SILENT KILLA JOINT:
俺はこの曲と"Intro"のビートが特に衝撃的やったんよ。
"XXL SMOOVY MOOVIN'"は…なんか構成がいかついやん、こんなんでラップしてる奴おらんしっていう。
僕はジャズが好きなんですけど、それにも通じるような「そいつの実力がそのまんま出る」曲やと感じて。
だからこの曲には俺の全力をぶつけたろうと思って…ビートが来た瞬間、速攻で書いて送り返したもんね。


dhrma:
俺はこのビートが今回のアルバムで一番「俺らしいな」って思ってたんですよ。
だから…さっき言った通りオニオンくん(SKJ)がこのビートに僕のアルバムをオマージュした曲名を付けてくれた時は「来た!」ってなりました。


SILENT KILLA JOINT:
マジで?
理解出来てて良かったわ笑
やっぱりお互い地元もちょっと離れてるし育ちも違うんですけど、似てる部分は多いんですよ。
ちょっと人見知りなとことかもそうやし…お互い制作するとき、最初は「お願いします!」「こちらこそお願いします!」みたいな感じやったし笑
そういうところから始めて、人間関係を築きながら、誠実に作り上げた感じは凄くあります。
その結果としてdhrmaともめっちゃ仲良くなった、みたいな。



─客演としては、まず"FALLIN’"でMILES WORDさんとBESさん, rkemishiさんというベテランを呼び込んでいることが注目されます。
 この曲の背景や人選の理由はなんでしょう?

SILENT KILLA JOINT:
最初、エミシくんに「今回のアルバムは僕の友達で固めたアルバムにしようと思ってます」って話をしたんです。
そしたら「今回は俺もP-VINEもいて環境整ってるんやから、1回やりたかった人たちを呼んでみたら」って言われて。
俺は正直そういうやり方って嫌いだったんです…友達以外を呼んで作るなんてリアルじゃないと。
でも俺はエミシくんのことは凄く好きやし、「まずはオープンに聞いてみよ」って気になれて。
それで考えてみた時、自分が憧れた、救われたような人たちに声を掛けようと思いました。
だからこの3人で…その中にはもちろんエミシくんもいる、って感じになりましたね。

曲のコンセプトについては、客演もみんなハスリンを通じて、色んな人が堕ちていく路地裏の風景を見てきたメンツが揃ったので。
だから何も知らん人がクラブで聴いたらバッド入るような曲にしたろと思いました。
僕のヴァースは勘ぐる奴がいれば勘ぐっちゃうような内容にしてます。


rkemishi:
この曲、最初はHOOK作る予定なかったんだよね。
MILESのとこに俺とMILES, BESさんでRECしに行ってたんだけど。
MILESがリリック書くのにちょっと時間を掛けてたんですけど、そしたらBESさんが「(待ってる間に)なんかHOOK出来ちゃったんで入れていいっすか?」って言い出して。
それでBESさんがまず録って、「被せて」って言われて俺とMILESの被せも入ることになったっていう。
BESさんは「もうちょっと書いていいすか?」みたいなノリで、やたらペンが走ってたんだよね笑


SILENT KILLA JOINT:
だからデータ返ってきたとき、作ってないはずのHOOKが付いてて震えましたね笑
あの曲は…僕の入りが「麻薬の売人が右に左に」なんですけど、BESさんの入りは「右も左もジャンキーだらけ」で、合わせに来てるんですよ。
そういうところもヤバいし、この曲のBESさんは、僕の好きなBESさんの中でも過去一が出たんちゃうか?っていうくらい好きですね。


rkemishi:
ちなみにこの"FALLIN’"ってタイトルを聴いたとき、自分の中で真っ先に浮かんだのはFebb(2018年に逝去)のことで。

だから「2018年2月15」って入れてるのはFebbの命日のことです。
あいつとのことは、絶対にどこかの曲で入れておきたいと思ってた。
ずっと言うタイミングを考えてる中でこういうテーマの曲が来て…ここだなと思いました。
俺にとっては絶対に忘れないリリックになりました。




─Kzyboostさんのトークボックスが映える"Monday loop"はひとつのアクセントになっていますね。
 内容としても月曜の朝に一歩踏み出し、自分の人生を見つめ直す、暗い部分もあるのですがどこか晴れやかな曲調に仕上がっています。

dhrma:
この曲にカズヤさん(Kzyboost)を呼ぼう、っていうのは僕のアイデアですね。
こういうトークボックスだとG-Funkなイメージが強いですけど、自分のこういう音に合わせるとどうなるんだろうと思って。
カズヤさんは絶対に呼びたいと思ってたので、この曲でやれて良かったです。

僕は結構「DAWN」っていうアルバムタイトルからすると、個人的にこの曲がMVPだと思ってます。
それはリリックの内容もそうだし、夜が明けてく感じが出てる部分もそうだし。



─"Monday Loop"は月曜の朝、晴れやかに1週間が始まる、みたいな曲ではなく、どこか暗さを引きずってますよね。

SILENT KILLA JOINT:
その意味ではこの曲が一番エピソードが思い出深いかもしれないです。
刑務所に行く前、僕は"Monday Walk"って曲をYouTubeにアップしていて。



これもちょっと憂鬱な気分のときに作った曲なんですけど、HOOKの内容がTHE 虎舞竜の"ロード"を参考にしていて。
その歌詞を英語にしたのが"Monday Loop"のHOOKなんです。
加えて曲の最後にもガヤで元の歌詞が流れてたりしていて…そういう部分を通じて、誰か傷ついた人たちが癒されるような曲になれば良いな、と思って作りました。
もちろん聴く人が好きな意味に取ってくれて良いんですけどね。

元々"Monday Walk"はKAKKYとも「このビート、dhrma好きそうやな」って話したりもしていて…だからこうしてdhrmaとの制作で"Monday Loop"に繋がって良かった。


dhrma:
僕、実はあの"Monday Walk"でガッツリ「SILENT KILLA JOINTヤバいな」ってなったんですよ。


SILENT KILLA JOINT:
マジで?知らんかったわ、やば笑

"Monday Loop"を作ったときは結構傷心するような出来事が多い時期で。
それで仕事行くんもしんどいな、休も…ってときに作りました。
だから「目を覚ました月曜日は最悪さ」とか、当時の心情、情景をそのまま歌ってます。



─今作でのSILENT KILLA JOINTさんには、自分を超えて「誰かに届ける、癒す」視点が凄く出てきている気がします。

SILENT KILLA JOINT:
僕、音楽聴いてて感動して泣くことが凄く多いんですよ。
そういう中で「音楽には力がある」って本当に思っていて。
だから("E.L.E"で歌っているように)「人の心を動かすのは簡単じゃない」けど、音楽でなら出来るんじゃないかって思う。
そういう中でストイックになる自分もいたりしますね。



─MU-TONさんを迎えた"White Line"は、それこそ夜明けのような雰囲気の中であるべき生き方を見つめるリリックがどこか儚げです。

SILENT KILLA JOINT:
この曲は元々、『DAWN』の為に作った訳じゃなかったんですよ。
エミシくんの家に僕とMU-TONくんで遊びに行ったとき、まあ「ちょっと歌詞書くか」って話になって。
で、その時のビートがエミシくんが作ったやつやったんですけど、僕のめっちゃ好きな歌手をサンプリングしていて。
それがめっちゃヤバくてリリック書いたんですよね。
で、いざ出来てみたら「これええやん」ってことで収録することになったと。


rkemishi:

でもまあ、俺のビートからdhrmaのビートに変えたとき、「俺はビートメイカーって名乗るべきじゃないな」って思ったよ笑
それくらいdhrmaとは差を感じた。

あと…この曲はMU-TONが歌詞書いた紙をなくしちゃって、俺が100回くらい聴いて文字起こししたんすよ。
MU-TONに「お前の歌詞これで合ってる?」って聞いたら「凄いっすね、よく分かりましたね!」って言われた笑


SILENT KILLA JOINT:
MU-TONは普段から連絡付かへんし、そういう感じですよね笑
でも僕、エミシくんの方のビートもマジで好きでしたよ笑



─ラストを飾るアウトロの"stillmyirene"の、この言葉の意味は?

dhrma:
これは凄くざっくりした由来なんですけど、安部恭弘さんの"アイリーン"(1984年)から取ってるんですよ。



結構くすぐったい歌なんですけどこれが超好きで、自分の好きな人や物を「My irene」って呼ぶみたいな、自分の中のスラングみたいなのがあったんです笑
それで大切なものは「アイリーンって付けよう」って思ってたんですけど、このビートが出来た時に「あ、アイリーンぽいな…」っていう…凄くざっくりした理由です笑


SILENT KILLA JOINT:

アイリーンってギリシャ語で「平和」って意味やもんな。


dhrma:

あ、そうなんですか?
まあピースに締めたいって言うのはあったので、良かったです笑



─最後に、今後の予定などについて教えて下さい。

SILENT KILLA JOINT:
この『DAWN』のアフターメイク的に、dhrmaとEPを出せたら良いなって思ってます。
今年の上半期中にとは思いつつ、まだちゃんと話してないんですけど。


dhrma:

僕は加古川出身なんですけど、同じく加古川のMC・Nel$oNとジョイント名義でEPを出そうかって話をしてます。
これも時期は未定ですけど、春とかには出したいなと思ってますね。


rkesmishi:

でも…自分のアルバムって子供みたいに思えるもんですけど、今回の『DAWN』は俺のアルバムじゃないのにそんな気持ちがあります。
お互い(東京と大阪で)距離が離れてる中、大変なことも色々あったけど、こうやって出来上がってほんとに良かった。


SILENT KILLA JOINT:

何回かダレルことはありましたもんね、僕が「もうええっすわ」ってなるみたいな笑
でもエミシくんが必要なときはアドバイスをくれるから、なんとか完成まで来れました。

こうやって振り返ってみて…やっぱり『DAWN』は僕にとって夢みたいなアルバムでした。
dhrmaとやれたし、大好きやった人たちとやれたし、ほんとに好きにやらせてもらいました。
その意味でもこの最近3年くらいの想いが全部入った作品やし、色んな意味で「アルバム」って呼ぶのがふさわしいなって思います。


─ありがとうございました。


以上(2021/03/25)
───
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作品情報:


(ジャケットクリックで配信先にジャンプ)

Artist:SILENT KILLA JOINT & dhrma
Title:DAWN
Label:P-VINE, Inc.
発売日:2021年3月10日(水)
CD品番:PCD-94022
CD定価:2.640円(税抜価格:2.400円)


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