Column/Interview

YENTOWNの創設者かつリーダー・JNKMN。そのストリートかつドラッギーなスタイル、その魅力については今更多くを語るまでもない。傑作1stアルバム『JNKMN NOW』でそのスタイルのひとつの到達点を示して見せた彼だったが、今回発表された2ndアルバム『GOOD JUNKEE』は、ガードレールを突き破り更に猛スピードで空に飛んでいく1枚だった。このスタイルに結び付く「[コンプラ]吸いたい」という直線的な動機、それにドライブされ量産される楽曲たち。
しかしその裏にあるのは、「人を巻き込み制作する」ことに対する真摯な姿勢、YENTOWN全体を見据えて動くリーダーとしての立ち回りだった。パンチラインだらけ、超ハードな内容となったインタビューだが、その端々に見え隠れする、冷静な視線を捉えて欲しい。

登場する主なアーティスト(順不同):
Minchanbaby, kzm, Awich, Chaki Zulu, U-LEE, DJ JAM, MonyHorse, KOHH, 舐達麻, ゆるふわギャング, Leon Fanourakis, SANTAWORLDVIEW, Authority, J. Breeze

─本日はよろしくお願いします。
 前作『JNKMN NOW』(2020年)を出した直後からコロナ禍が本格化しましたが、アーティスト活動への影響や、逆に受けた刺激などはありましたか?

JNKNN:
まあ、単純に(ライブがなくなって)暇になりましたね。
その分スタジオに入る機会が多くなったんで、曲を作りまくってました。
だから今回の2ndに収録した曲以外にもストックがたくさんあって。
それは『JNKMN NOW』のときも同じだったんですけど、あの頃よりストックの質は確実に上がりました。
そういう曲も今後色んな人の客演とかでリリースされていくと思います。
例えばPizza Loveとの”TAKARU”もそうですね、クラブにいたらいつもいて仲良くて…気のいい奴です。

むしろ、ラッパーの人たちってこの状況下で曲作る以外にやることないと思うんすよ。
逆にみんなよくそんなにダラダラ出来るなって思いますね。
まあ、ハスリンしたり悪いことしたりで忙しいのかもしんないすけど、よく怠けてられんなって。

─PRKS9でMinchanbabyさんにインタビューしたときも同じような指摘がありました。

JNKMN:
元韻踏のミンちゃんですよね?
俺、勝手にミンちゃんと自分のスタイルは近いと思ってて、めっちゃ好きなんですよ。
いまはハイパーポップな感じですけど、どんなスタイルになっても常にイルじゃないですか。
音も歌ってる内容もイケてるし、いつか一緒になんかやりたいです。

─フィールしてる2人から同じような指摘──いま曲作らなくて何すんの?っていうのが出てる訳ですね。

JNKMN:
ミンちゃんの言ってることと一緒で、こんな状況下なのにストリートから何も発信出来ないって、どうなのって思いますよ。
こんなに色んな感情が渦巻いてる中でそれを曲に出来ないって、ダサくないですか?
別に稼ぐとかそういうことじゃなくて、「お前なんか歌いたいことねえの?」っていう。

それはYEN(TOWN)のみんなにも言ってることで。
「だいじくん、ペース早いっすね」とか言われたりするんですけど、ちげーだろっていう。
俺は別に頑張って作ってる訳じゃなくて、普通に曲作る以外に何することあんの、ってことです。
もちろんみんな固有の事情があることは分かった上でですけどね。

─その意味では、YENTOWNではkzmさんやAwichさんもきっちり2020年にアルバムを出しましたね。

JNKMN:
その2人はやっぱりChaki (Zulu)さんが手掛けてるんで、ちゃんとプロモーションとかも含めて動いてますね。
自分はどちらかと言うと今はU-LEEや(DJ) JAMがやってくれていて…まだみんな業界のこととか知らないんで、探り探りでやってたりって感じです。
俺は「カッコ良い曲作って出してりゃ良いじゃん」って感じですけど、kzmとAwichはそれに加えてマーケット的なことも見据えてやってるんで、そこはリスペクトしてます。
もちろん普段遊んだりするバイブスは一緒なんで、仕事のやり方が少し違うだけって感じっす。
だからストックにはkzmとやった曲もあればPETZやMony(Horse)とやった曲もあるし…みんなで遊びながら作るんで。
曲作るのなんて遊びです、ノリで作ってあとで「この曲はお前の、こっちは俺の」って分けるだけです。

─スピード感の話で言うと、日本のHIPHOPシーン自体にも「おせえよ」っていう印象はありますか?

JNKMN:
いや、それはないっす、自分より早い奴とかもいっぱいいるんで。
それこそLEXとかTohjiとか…あと曲のペースは早くなくても、Lootaは最先端だし、KOHHくんは間違いないし。
他にも舐達麻やBAD HOPとか、九州のベゲ(fastman人)とか…ベゲとはこないだ曲作ってきましたし。
だからイケてる奴らはちゃんと見えますけど、他の見えない奴らは大丈夫なの?って感じっすね。

─アルバムの話に戻ると、じゃあ前作からちょうど1年のスパンで出したことについてはあまり意図的でなく、ストックが溜まったから今出した、という感じ?

JNKMN:
いや、そこはある意味意図的というか…1年、待ったんですよ。
2020年の3月にアルバムラストの”GOOD JUNKEE”が出来て、そこでアルバムの全体像が見えて…そこから去年の夏にはもう全部出来てました。
でも俺が早く出すと他のみんなが遅く見えたり、俺だけ張り切ってるみたいになるのもアレなんで、「1年は待とう」ってなっただけですね。
半年間、ずっと待ってました。
まあ待ってる間にも(DJ JAMとの)『SMILE EP』とか、DOGMAとの『DARC』とか出して繋いでたんで、「お前早すぎだろ」ってバレちゃいましたけど。

で、今回の2ndをこのリリース日にしたのは1年だからっていうのもあるし、俺、超記憶力が悪いんで。
いつ作品出したかすぐ忘れるんで、2枚目を2月22日に出すってことにすれば覚えやすいんじゃねってことでこの日にしただけです。
ノリです。

─楽曲制作のスピード感があるので、自然とアルバム1枚分くらい溜まっちゃうんですね。

JNKMN:
そうですね、この1年は毎週スタジオに入って1曲は出来る感じでしたし。
最近困ってるのは、もう1回スタジオに入ったら2-3曲出来ちゃうんですよ。
そうなると曲だけ出来ても周りの作業が追い付かなくなっちゃうんで、どうしようかなっていう。

─そのペースで曲が作れてクオリティも底上げされるようになった、その秘訣はあるんですか?

JNKMN:
まず、歌ってる内容なんてUSのラッパーもたいてい同じことをずっと歌ってるじゃないですか。
だから歌詞の内容みたいなところは別に「色々しなきゃ」みたいなのはなくて。
どちらかと言うと、ドラえもんみたいな1話完結型のアニメの1話に近いです。
トピックは同じでも、今日の気持ちで録ったらこれ、っていうのが色々ある感じ。

そういうマインドは…KOHHくんやShowyみたいに、リリックを書かないラッパーっているんですよ。
あいつらはもうビート聴いて、そのままマイクの前に立って即興で録って終わっちゃう。
その方法は「良いな」と思ってリスペクトしてます。
それは早いからカッコ良いってことじゃなく、何かを介してないぶん、自分の想いをストレートに乗せてる感じが出ているので。
俺は記憶力悪いんでフリースタイルでは出来ないですけど、頭の中で浮かんだことを早くアウトプットする、ってことは重視してます。
そうした中で曲のペースも早くなった感じですね、そこはKOHHくんとShowyのおかげだと思います。

─なるほど。
 ではここから今回のアルバムについて…まずは全体的なところで、今作のコンセプトなどあれば教えて下さい。

JNKMN:
基本的にはタイトル通りって感じです、グッドなジャンキーの話というか。
薬物中毒者って悪いイメージも強いと思うんですけど、ある意味かわいそうな奴らだと思うんですよ。
よりどころがなくて、そのはけぐちにドラッグに手を出すさみしい奴ら…そういう人たちの救いになればって作品です。

「トんでるときはもっとこういうマインドでいれば良いんじゃない」みたいな提示をしていて、「こういう風に生きてみたら良いんじゃない」って。
バッドマインドに入るから人に会っても「あいつまたグリってるよ」みたいに言われて悪循環になる。
そんな中で、俺はこんなポジティブなバイブスで生きてるぜっていう、そうした考えを散りばめてます。
だからなるべくポジティブなワードのある曲にしていて、「この方が楽しく生きれるな」って思って貰えるような内容になってます。

…まあ真面目に言うとそういうことなんですけど、基本は俺もトんで作ってただけなんで。
オナニーみたいなもんです。

─笑 トラックメイカーの布陣も前回と違いますよね。
 1stはChaki Zuluさんも関わって多様な顔ぶれでしたが、今回はほぼDJ U-LEEさんとDJ JAMさんで。

JNKMN:
YEN(TOWN)の中でアゴで使えるメンツで固めたからっすね。
やっぱりコロナ禍で人と会い辛いし、会って何か迷惑かけたらアレなんで。
U-LEEもJAMもYEN以前から後輩であり友達なので、2人に頼みました。

ChakiさんはいまAwichやメジャーのプロダクションもやってる中、俺の今回のアルバムのイメージが付くのは避けようってのもあったし、U-LEEのレベルアップもしたかったので。
だからU-LEEがExecutive Producerみたいな感じで作ってくれて…それで何かあればChakiさんにも意見もらうみたいな。
Chakiさんも耳は通してるんで、監修的に関わってくれてます。

─Chaki Zuluさんはクレジットに入ってないものの、やはりJNKMNさんとは切っても切れない関係にあると。

JNKMN:
そうですね…元々1stを作ったときにも、「こういう直接的な表現から抜け出さないと他のファンが増えないよ」って指摘は(Chaki Zuluから)受けていて。
それで俺も凄く悩んで、「2ndはドラッグネタを封印するかな」とか思ってたんですよ。
だけど最初に”GOOD JUNKEE”って曲が出来ちゃって。
それを聴いたみんなが「もうこれで良いんじゃない?これがだいじくんだよ」って言ってて。
俺もじゃあ、もうこれをコンセプトに据えて、そういうテーマでやろうって思った。
そこから一気にもやもやが晴れて制作が出来たって感じです。

逆に次の3rdは人の心の「イル」な部分…もっと精神的な部分にフォーカスするかなって思ってます。
その意味で別にChakiさんのアドバイスもありがたく頂いてる感じですし、こないだ「次のはお願いしたいです」ってLINEしたら「全然やるよ」みたいな感じだったんで。

─ChakiさんとJNKMNさんの関係性もあって、もう3rdの筋道まで見えてるんですね。

JNKMN:
ただ、俺はもう2枚出しちゃってるんで、一旦自分自身の動きは落ち着かせるかもしれないです。
その代わり、Wu-Tang-ClanみたいにYENTOWNの5人でマイクリレーするポッセアルバムみたいなのとかやりたいっすね。
やっぱみんなソロとかで忙しい中、俺は(アルバムも出して)手が空いてるんで。
俺の言うことはみんな聞いてくれるんじゃね、俺もリーダーだし、って感じす。
それでChakiさんとも「マイクリレーやれば面白いよね」って話になって…やっぱライブでもみんなでマイク回せば俺も上がるし、やりたいっすね。

だから俺はそっちの方面で…シャバにいる限りは動いていきます。
なので警察の皆さんは俺を見てもほっといて下さい、マジで。

─YENTOWNのクルーアルバムはヤバいですね。
 ここからアルバムの内容も聞ければと思うんですが…まず、冒頭の”JNKMN NOW”は前作のアルバムタイトルを引き継いでいて、明確に前作と地続きですよね。
 音の質感もグランジ/インダストリアル的なベースが凶悪なところも共通していて。

JNKMN:
この曲は…俺が某バンドがめっちゃ好きで、ぶっちゃけそこのベースラインをサンプリングしてるんですよ。
U-LEEに「これで作ってみてよ」って渡して出来た曲で…俺もどの曲を(サンプルネタとして)渡したのか覚えてないんですけど。

だから音としてはそれだけの背景なんですけど。
曲名については、前作『JNKMN NOW』がひとつの大きな「自分の今」を表したアルバムだったんですけど、それと同じで、今の俺を自己紹介するとこうだぞって曲なので同じタイトルになってます。
今回は自己紹介を1曲で済ませて、あとは”GOOD JUNKEE”で締める、そんな構成のアルバムなので。
その中間の曲たちは…言い方はアレですけど光の当て方がそれぞれ違うだけで、テーマとしてはこの”JNKMN NOW”と”GOOD JUNKEE”に凝縮されてます。

俺、[コンプラ]が凄い好きなんで、アシッドっぽいロックとかすげー好きなんですよ。
未だにJimi Hendrixの(1969年8月に行った)Woodstock Festivalの映像とか見ますもん。
ヒッピー文化とかも好きなので、ああいうのがすげー刺さるんですよね。

─客演についても教えて下さい。とりあえず今回も豪華なメンツが集まりましたね。

JNKMN:
そうですかね、ほんとに自分の周りを呼んだだけなんですけど。
まあ今回は俺一人の世界観を出そうと思ったので、意識してYENTOWNの人間は呼ばないようにしました。
その意味では”普通 feat. NENE, MonyHorse”って曲にだけMony(Horse)が入ってるんですけど、これは経緯があって。
元々この曲はMONYPETZJNKMNで録ろうと思ってて。
俺はいつもそうなんですけど、まず自分のHOOKとヴァースを録って、みんなに聴かせて気に入ってくれれば入ってもらうってやり方なんです。
それで”普通”も聴かせたんですけど、みんな微妙な感じっぽくて「じゃあいいよ」つって。

そのあとゆるふわに聴かせたら気に入ってくれて、まずNENEがヴァースくれました。
それでRyugo (Ishida)を待ってたら、Monyから「俺書けました!」って連絡があって、じゃあ今書けてる奴らで録ろうってなって完成した曲です。

─ゆるふわの皆さんは3曲に登場する重用ぶりです。

JNKMN:
やっぱ仲良いですからね。
俺とゆるふわは、他のメンバー(非公開)と一緒にJODYってクルーも組んでたりするんで。

ちなみにこのJODYのコンピも今度出ます。
みんなでコテージとか借り切って機材持ち寄って作った作品ですね。

このJODYもMVがあと2本くらい出る予定なんで、やっぱりハイペースかもしれませんね。
でもU-LEEがその辺の(ペースとクオリティの)バランスを取ってくれてるんで、ほんとにデカいです。
耳も確かだしMixもやってくれるし、歌寄りのときのメロディも作ってくれたりするので。

2人でスタジオ入ったら、最初のドラム作るとこから始めても1日で2-3曲出来ちゃいます。
まあアレがないと「今日もなんも出ねえから帰るわ」ってなりますけど。

─その他の客演の人選も教えて下さい。
 前作から参加のTAEYOさん、Leon Fanourakis & SANTAWORLDVIEWさんなど語り口がかなり多い布陣です。

JNKMN:
テヤン(TAEYO)に関しては…元々俺が刑務所入ってて出てきた時に、「歌メロやりたいんすけど誰かいないですかね?」ってChakiさんに話したときに教えて貰いました。
Chakiさんが普通に金払ってライブ観に行くくらい気に入ってるって言ってて、「それヤバくね?」と思って聴いたら確かに、みたいな。
それでChakiさんに紹介されて、一緒に遊ぶようになりました。
今回の”24☆7 feat. Ryugo Ishida, TAEYO”については、元々RyugoのヴァースとテヤンのHOOK, それにヴァースもあった2人で作ってる曲だったんですけど。
俺がRyugoのヴァースに聞き惚れちゃって、「テヤンのところに俺入らせて」って頼んでこういう形になりました。

LeonとSANTAは…SANTAが元々U-LEEと仲良くて、一緒に遊んだりしてるんですよ。
それで家で一緒に曲作ったりしてるんですけど、そんなときにLeonも今度来たいみたいな話をしてて、じゃあ2人一緒においでよって誘ってU-LEEの家で録りました。
曲の内容はもう聴いたまんまです、色々やりながら作ったぜっていう。

─『JNKMN NOW』が15曲41分、今作も17曲51分と、現行のトレンドに比べると大ボリュームと言えそうです。
 あまり「短尺にして、曲数も抑えて再生数を稼いで…」みたいな意識はない?

JNKMN:
そうっすね、セールスのこととか考えだすとたぶん曲が作れないっす。
もう色々食って、ぶっ飛んで何か降りてきて曲にするってだけなんで、そこに余計なものは噛ませてない。
まあ、短尺にするって意味だと単純に「もうこれでいいんじゃね」みたいになって作るときはありますけどね。
やっぱおっさんなんで、曲が短かすぎると不安なんすよ、3分くらい欲しい。

─アルバムの序盤──”TAMAROU”までの4曲、”JNKMN NOW”, “あれも”, “UP”, “U Can’t”は完全に「吸うこと」自体がテーマな、ストーナーラップド真ん中で攻めています。
 ”Jailbird”で悔恨を描いた前作からすると、かなりその鬱憤を晴らすかのような全開感がある気がします。

JNKMN:
意図してるというか、もうそれしかないんですよ。
むしろ”Jailbird”だけが例外的にそういう匂いを取り除いて作った曲って感じです、基本スタイルがストーナーですね。

─序盤の中でも”U Can’t”は歌フロウになっていて、これまでとは違うアプローチのJNKMNさんが見えますね。

JNKNN:
これはさっき言った、U-LEEのディレクションで歌メロになった曲ですね。
この曲と”GOOD JUNKEE”は、KOHHくんの使う王子のスタジオで録ったんです。
だからと言うか、この2曲については歌詞書いてないんですよ。
そのスタジオって実は歌詞書くの禁止なので、俺もそのやり方にならって作りました。
それで俺が歌ったりする中でKOHHくんが「それ良いっすね」って意見してくれたりして少しずつ仕上げてくような感じでした。
だからそれで鍛えられた部分もあるかもしれません。

─なるほど、KOHHさんやKOHHさんのスタジオが関わってるからか、あの2曲は雰囲気として共通するところがありますね。
 それに近いところでは、MVも出た”PUFF PUFF PASS”もスペイシーな四つ打ちで近い雰囲気を感じます。
 JNKMNさんには珍しく(?)被せもされていて。

JNKMN:
あれはU-LEEとDISKナガタキのビートで、2口吸ったら回して欲しいという気持ちを込めて作りました。
ジョイント回しててなかなか渡さない奴らいるじゃないですか、治安を守りたいですね。
MVは元々22emonさんのアニメが凄く好きで、ずっと仕事を頼みたいと思ってました。

被せも…2-3本は録ったのかな。
正直自分はあんまり覚えてなくて、U-LEEがセンス良くやってくれたんだと思います。
他の曲でもたまに「あれ、こんなコーラス入ってたっけ?」みたいなのが入って良い感じになってたりしますね。

─”たげ feat. Authority, J.Breeze”は少し異なるアプローチの曲に感じました。
 津軽弁?が多く、ご出身の青森まで立ち戻った上でボースティングする部分も見えるような。

JNKMN:
あれは津軽弁ですね。
HOOKに出てくる「たげ」も「うだで」も大体「凄く、超」みたいな意味で。
だからHOOKの「たげかっけえ うだでやべえ」っていうのは「凄くカッコ良い、超やべえ」くらいの…実はなんも意味ないゆるい内容なんですよ。
でもこのノリの内容に、客演としてAuthorityとJ.Breezeみたいなテクニカルなラッパーを入れたらどうなるんだろうと思っての人選です。

それで2人に連絡を取って、「ヴァース入れといて」って頼んだら、最初に来たラップが超スピットしてて。
やっぱり若くて勢いあると超カツカツ乗る、みたいなのあるじゃないですか。
で、「これも良いんだけど、この曲のHOOKを踏まえて、このリズムに合わせた上でお前らの技術を聴かせて」って返しました。

─めちゃくちゃ丁寧なディレクションですね笑

JNKMN:
まあ自分のアルバムだから、勝手に俺を食おうとすんなっていうところで。
HOOKで流れが出来てる曲ではあるので、ヴァースでカチャカチャ流れが変わるのは良くないなと。
だから伝えたのは「歌う内容はぶっちゃけ何でも良いけど、この曲の場合はフロウを合わせに来て欲しい。なんでもカツカツやるのはラップゲームだから。こっちはプロとしての仕事だから」って。

それで数テイク録り直して出来上がったのが今回の内容です。
そこをきっちり合わせに来れるから、俺はやっぱりあの2人が好きですね。

─Authorityさんは元々フリースタイルを聴いて喰らったとか。

JNKMN:
元々俺が仮釈か保釈で地元にいなきゃいけない時期に、”DREAM STICKS”が売れてたDEVINを観にクラブに行ったんです。
それがJ.Breezeや後輩たちに連れて行って貰ったんですけど、そこで前座としてフリースタイルしてたのがAuthorityでした。
俺らは楽屋にいたんですけど「こいつヤバくね?」ってなってフロアに出てって…それ以来の仲です。

J.Breezeは…俺が青森の藤崎町ってとこの出身なんですけど、同じ街の出身なんです。
そこは弘前から外れたとこにある人口1万人くらいの街で…そこの後輩の後輩くらいの感じなんですよ。
実家も近いし、よく「お前んちのりんご畑どう?もう収穫終わった?」みたいな話をします。

─後半になると”繰り返し”, “バイバイ”など内省的な曲が増えす。
 特に”バイバイ”はその傾向が顕著で…一方でしっかりストーナーなリリックも入っているのが一貫されているというか。

JNKMN:
“バイバイ”は…結構仲良かったセフレがいるんですけど、会えなくなるんでバイバイするっていう、もうそれだけの曲です。
別に未練があるとかじゃないんで、「また逢う日…来世とかで」くらいのノリで。

─そうだったんですね笑 個人的にはかなり感動的な内容だと思って聴いてました笑

JNKMN:
マジすか、KOHHくんにもこの曲は褒められたんですよ。
それで「だいじくん、最近別れたりしたんですか」 「いやセフレがいなくなっただけだよ」 「あー…」みたいな。

“繰り返し”はバイオリンが入ってるんですけど、あれを弾いてるのが大島さんて方で。
それで元々は[コンプラ]の曲として書いてたんですけど、大島さんの名前を汚さないように真面目な内容に書き換えたんです。

俺は適当にやってはいますけど、お蔵入りの曲とか出したくなくて。
もちろんいくつかは出ちゃいますけど、俺はひとつ形になるまでに色んな人が携わってるのを見てきてる。
人の人生を削って作ったものを「やっぱやめとくわ」みたいなのは良くないと思ってます。
だから…もちろん納得いかないことはしないですけど、いくつか書き直したり、改善することで出せるものになるならそうしたい。

─JNKMNさんの言葉からは、ラップの録り方自体はノリだとしても、全体を通した制作姿勢には凄く真面目な部分が伝わってきます。

JNKMN:
姿勢としては真面目なんじゃないかと思ってます。
YENTOWNって俺が作ったクルーですけど、やっぱりAwichやkzmはメジャーフィールドに出ていて、ある意味悔しいなって思いはありますし。
逆に悔しいからこれだけ制作に集中出来てるのかもしれないですけどね。
自分はあの2人とはまた違う切り口…ストリートの目線でのラップみたいなところでどこまで行けるか、って感じです。

─リスナーがJNKMNさんとkzmさんを知った大きなきっかけはSEEDAさんとの”BUSSIN'”でした。
 あの曲のストリートなノリをJNKMNさんが引き継いでいるところに喜んでいるヘッズも多いと思います。

JNKMN:
あの曲で一気に出た感じはありますね。
それまでは結構Trap寄りのことをやってたんですけど、あれを出してDOWN NORTH CAMPのマーシーさんや仙人掌さんから褒められたりして。
DNC好きなんで、そこに褒められて自信が付いて、ガッと制作が進んだところはあります。

あの曲はやっぱSEEDAくんみたいな雲の上みたいな人とやるってなったから本気で書きました。
でもめちゃくちゃプレッシャーで中々筆進まなくて…[コンプラ]めっちゃ吸ったっすね。
それでスタジオ行ったらSEEDAくんもいたんですけど、あの曲のSEEDAくん、ほぼフリースタイルなんですよ。
RECのときに紙持ってたから見てみたら、なんか単語が2つ書いてあるだけの紙で。
「全部フリースタイルなんすよー」みたいな。
だからあの曲のSEEDAくんはヴァースもだし、HOOKもフリースタイルなんですよ、SEEDAくんはヤバいです。
KOHHくんやSEEDAくんみたいに、ヤバい人たちがいるから俺もまだまだだなって思えるし…もっとやってやるぞって思います。

─ラストを飾る”GOOD JUNKIEE”が強烈です。
 ギターサウンドにシャウトアウトするフロウ、ストーナー全開のラップ…。
 先ほどからもお話に出てきている曲ですが改めて、最後をこれで締めようと思われた理由は?

JNKMN:
まず、俺色んなもん食ってやべえ状態になってからスタジオに入って…だからなんかあんま記憶がないんですけど。
とりあえずKOHHくんに「叫んで」って言われたことは覚えてます。
俺はいつも喉に当てて声を低めに出すんですけど、KOHHくんはなんかあんまりこのスタイルが好きじゃないらしくて。
「無理にカッコ付けず、自然体で心の叫びを出してるのが見たい」って言われたんです。
それでじゃあやってみようってなったときに、俺が叫びたいことって…「[コンプラ]いっぱい欲しい」だなっていう。

そんな感じで録ってみたら、さっきも言った通り「俺はどういうスタイルで行けばいいのか」みたいな悩みが消えて。
周りのみんなも「もう次のアルバムのコンセプトはこれでいいじゃん」ってなってて。
だから繰り返しですけど、この曲が出来たから全部始まったと思います。

でも初めからこの曲で始まったらみんなODしちゃうんで、”JNKMN NOW”とかロウなところから始めて耐性を付けて、最後にこれを持ってくる。
そういうアルバム構成になってます。

─ありがとうございます。
 最後に、告知や今後の予定があれば教えて下さい。

JNKMN:
さっき言った通り、ゆるふわたちと組んでるJODYのアルバムが出ます、時期はまだ決まってないですけど。
それから…春くらいからツアーで回りたいですね。
今はこんな状況なんで、緊急事態宣言とかが解け次第、各所連絡とってバチっと決めたいなと思ってます。
あとはMonyやPETZもヤバいのいっぱい作ってるし、さっき言った通りYENTOWNのクルーとしてのアルバムも作りたいですし。
色々動き続けます。

─ありがとうございました。

以上(2021/03/12)
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