インタビュー: SOMAOTA – 音楽を吐き出す生活から、向かい合うまで
関西に強烈な個性を持つMCが現れた。京都・大阪で活動している7人組のHIPHOPバンド・Black petrolは、インダストリアルやオルタナティブな要素も取り入れたエクスペリメンタルな集団だ。そして、このバンドでMCを担当するのがSOMAOTA。キレの良い高音で刺激的なリリックを突き刺しながら、豊かな音楽的バックグラウンドを感じさせつつ、同時に退廃的な世界観を見せる。川崎から京都に移り住む中で貪欲に音楽を吸収してきたその才能は、今や関西の若手でも筆頭の注目株となりつつある。その才能・素養を裏打ちするものは何か。一方でソロEP『Nori Nori Daze』で感じられる切迫感が根ざすものは何か。
「今日も明日もどうなるか分からない、みたいな心境の時に、とにかくリリック書いて、ラップして、曲にして、聴いて踊って…そんで寝る、みたいな生活だった」
Black petrolの2nd EP『UnIdentified ChildRen』が11/13にCDリリースされた今回、このバンドとSOMAOTAの背景を解き明かしていく。
登場する主なアーティスト(順不同):
空音、Ryuki Sumi、NeVGrN、S.L.A.C.K、Kendrick Lamar、Fla$hBackS、トライコット
─まずは自己紹介をお願いします。
SOMAOTA:
SOMAOTAです。1999年2月生まれの21歳で、今は京都に住んでる大学生です。
京都・大阪・神戸辺りでライブしてます。
MC名は本名のオオタソウマが由来になってます。
発音については、自分ではそのまま「ソウマオオタ」って言ってますけど、周りは「ソマオタ」って呼んでるんで、なんでもいいです笑
元々はSubって名前でラップを始めたんですけど、のちに作品を出したタイミングで改名しました。
理由はUSのラッパーでKendrick LamarやKanye Westみたいに本名で活動する人が多かったのでそれを踏襲したのと、
あと本名のオオタソウマくんと、ラッパーの自分自身の境目を特に分けなくて良いかなと思ったので。
出身は…神奈川県の川崎に住んでて、大学を機に京都に来ました。
ただ父親が転勤族でロンドンにいた時期もあって、たまに長い間行ったりしてましたね。
─元々はどんな音楽を聴いてたんですか?
SOMAOTA:
小5とかで初めて能動的に音楽を聴き出したんですけど、そこから中2くらいまではBUMP OF CHICKENやRADWINPS、9mm parabellum bulletとかを聴いてました。
そこまで大好きとかって感じではなかったんですけど、転換期として、中3でバンドを組み始めて、ドラムをやったんですよ。
GREEN DAYとかガレージロック寄りの曲をやってたんですけど。
バンドはなんか誘われたから始めた感じで…実はドラムやったことなかったんですけど、「やってるよ」って見得張って入りました。
だから周りは「あれ、あんま上手くねえな」って思ってたかもしれません笑
─ロックバンドが入り口だったんですね。そこからHIPHOPに興味を持ったきっかけは?
SOMAOTA:
バンドを始めたちょっとあと…2015年くらいにラップにも出会って興味を持ち始めました。
S.L.A.C.Kの『My Space』(2009年)や『WHALABOUT?』(2009年)がめちゃくちゃ好きで聴いてましたね。
あとはやっぱりバトルの影響もあって、高校生ラップ選手権とか見て、サイファーしたりしてました。
学校が音楽にすごく積極的な環境だったので、毎日昼休みに屋上へデカいスピーカーを持ち込んでサイファーしてました。
あとは川崎サイファーにも何度か行ったりして…ほぼ毎日ラップやってる感じでしたね。
シンプルに「ラップ楽しいな」って思って。
S.L.A.C.K以外にもKANDYTOWNとかFla$hBackSとか好きでした…やっぱり日本のHIPHOPが多かったです。
最初のガツンと喰らった入口はこの人たちでした。
一方でバンド活動も並行して続けてたので、高1~2くらいの時には川崎の大河原でライブしたりしてました。
ただ高校卒業するタイミングで解散したので、それ以降はラップ一本で活動してます。
─日本のHIPHOP中心なのは少し意外でした。
SOMAOTAさんのバイリンガルなスタイルや、各所でのUS HIPHOPのライン引用などを見るとUSメインで聴いてたのかと想像していました。
SOMAOTA:
そこはまた色々あって。
大学入ってすぐに休学したんですけど、その1年間でUSのHIPHOPを含め、めちゃくちゃ色んな音楽を聴いたんです。
実は大学に24時間爆音で音を流せるスペースのある部活があって…スピーカーもKRKでインターフェースも良いやつみたいな、すごく豪華な環境で。
加えてクラシック音楽からTrapまで、色んなジャンルの音楽を収めたCD-Rが壁一面に貼ってある不思議な空間もあるんですよ。
そこに入部したんですけど、色々とあって部員が僕しかいないみたいな状況になって…要はその環境をめちゃくちゃ使えたんです笑
その部には89年~99年とかの各年の名曲100曲をOBがチョイスしたCD-Rがあって、まずはそれを聴き出しました。
その中でA Tribe Called QuestやMobb Deep、NASとかを好きになりました。
特にJ Dillaが制作に入った『Beats, Rhymes & Life』(1996年)と『The Love Moment』(1998年)は好きで、「やべえな」って思って。
加えてその頃出たKendrickの”Alright”のMVにヤラれたりとか。
あとはWho Sampledとかも見て、サンプル元のネタも聴きに行ったりして、その1年間は色んな音楽の基礎をめちゃくちゃインプットする、みたいな感じでした。
─それが2017年頃ですよね。同時に、SoundCloudにはその時期から初期のSOMAOTAさんの音源がアップされ始めていますね。
SOMAOTA:
一番最初に録ったのは高校卒業の時にコンピみたいなのに入れたやつで、それが初音源ですね。
その後、大学に入ってからも作り続けてました。
やっぱり休学して暇だったんで、インプットもアウトプットもずっと続けてました。
─そこから最初に纏まった音源として出したのが、Neo Buddhist『√』(2018年)ですね。
このクルーの成り立ちや、制作背景を教えて下さい。
SOMAOTA:
元々大学の為に京都に来て友達がいなかった頃、でもサイファーがしたくなって。
大学のグループラインに「ラッパーの人や、ラッパーと知り合いの人いません?」って投げたんです。
そしたらたまたまラッパーの紹介を受けたのが、ちるぼ~い(現Ryuki Sumi)で、彼と一緒に結成したのがNeo Buddhistでした。
2017年の5月頃かな。
最初はサイファーの募集だったんでクルーを作ろうって話じゃなかったんですけど。
ソウルやノイズとか、自分より詳しいことも知ってたので互いに色々教えあったりしてるうちにフィールしたので結成しました。
で、それが先に言った通り1年休学してた頃なんですけど、年が明けて2018年になり、復学が近付いてきた時に「何かこの1年の形を残さないと」と思って『√』を作りました。
─Neo Buddhistの初作の時点で、ノイズの影響を感じさせるビートがあったり、タブラが差し込まれていたりと実験的な試みをされていましたね。
SOMAOTA:
『√』のトラックは全部自分がAbletonで作ったんですけど、その頃はビートメイクについて初心者だったんですよ。
それもあって結構サンプルをそのまま使ったりもしてて。
その当時は(エレクトロニカ畑の)Nature Boy FLAKOが出したHIPHOP寄りのアルバムにハマってたこともあって、そこから3曲くらいサンプルしてたりとか。
他にもRadioheadやKaytranadaみたいな…そのときの自分が聴いてた音楽から選んで作ってました。
なので実験的な音が多いのは、当時聴いてたのが実験的な音だったから、って感じですね。
自分の初期衝動が詰まってるので、今聴くと結構楽しいです笑
─そこから新たにHIPHOPバンド・Black petrolに所属して作品を発表することになる訳ですが、そこまでの流れと、バンドの概要について教えて頂けますか?
SOMAOTA:
いきなりTwitterで「Black petrolというバンドですが、いまラッパーを探してます。一度会いませんか?」みたいな連絡が来たんです。
その頃ちょうど、ryuki sumi経由で知り合った知り合ったONISAWAくんとよく遊んで曲録ったりしてたので、彼も連れて行って今のBlack petrolの原型が出来上がりました。
それが2018年1月頃ですかね。
メンバーはその後入れ替わったりしてるんですけど、今は次の通りの構成です。
ヴォーカル: SOMAOTA, ONISAWA
ギター : Jaymopp(リーダー)
ドラム: Almin
ベース: たけひろ
キーボード: いしおひろき
サックス&フルート: Daiki Yasuhara
元々は(ジャズミュージシャンの)Charles Mingusリスペクトのジャズバンドだったみたいなんですけど、「ちょっとラッパー入れてみる?」みたいな感じで僕らを入れてから変わっていき…今ではジャズっぽい感じでもなくなってます。
最初はメンバーもHIPHOP聴いてる訳じゃなく、かろうじてATCQくらいで…Kendrickを聴かせたら「カッコ良くない」とか言ってましたからね笑
─そこからBlack petrolの1st『Q’uoted By』(2019年)が出るまでは?
SOMAOTA:
現場で主に活動を続けてました。
メンバーの脱退とかでごちゃついたときもあって、1stまでは少し時間が掛かりましたね。
それこそ”Final Stance”とかはずっと前…2018年には出来てたので。
─Black petrolの作品については、Jaymoppさんが主にプロデュースしている?
SOMAOTA:
そうですね、基本はジェイくん(Jaymopp)がやってます。
でも『Q’uted by』収録の”Kyoto State of Mind”とかは、J Dillaの”The Clapper”(『Welcome 2Detroit』(2001年)収録)をドラムのやつが「これはカッコ良い」って叩いてたのを下地に作り上げたりとか。
あと同じ1stの”You Me”は、休憩時間中にキーボードが良いフレーズ弾いたんでそのまま使ったりとか、色んなパターンがあります。
でもまあ基本的にはジェイくんが作ってますね。
─ここまでのお話を聞いてると、『Q’uoted By』には90年代HIPHOPの引用がちりばめられてたりしますが、
バンド全体としてそういう方向性だったわけではないんですね?
SOMAOTA:
はい、引用とかは僕個人が好きだったものから取ってきただけですね。
『Q’uoted By』ってタイトルも、そんな引用してる背景から僕が付けた感じで…この時はメンバーもそこまでHIPHOP聴いていなかったし、そういう意味でもHIPHOPバンドにはなりきれていなかったかもです。
─それもあってか、まっとうなHIPHOPビートがあったり、フリージャズっぽい曲があったりと、曲によってはっきり異なるジャンルの音が出てますね。
SOMAOTA:
そうですね、その意味では2nd『UnIdentified ChildRen』(2020年)の方が作品としてはまとまってるかもしれません。
─ではその最新作となる『UnIdentified ChildRen』について聞かせて下さい。仰る通り、作品として非常にまとまっていて、かつ様々なジャンルの音がミックスされた非常に稀有な作品になっています。
2ndの制作へ至るまでに何が変わったのでしょう?
SOMAOTA:
まず、サウンド面としてはエンジニアの方を変えて、自分たちのやりたい音を発言して実現する関係が出来ました。
ビートの面では、前作のときは奇をてらったというか、尖ったことやってやろうぜみたいな雰囲気がバンドの中にあった気がします。
もちろんそれで面白いものが出来たとは思ってるんですけど、『UnIdentified ChildRen』ではカッコ良くありつつも、色んな方が聴けるところを意識しました。
あとは単純に、僕のラップが前作では全編英詩だったのを2ndでは変えました。
というのもONISAWAくんが…MCバトル界隈では有名な人で、90年代的な、いなたくてカッコ良いラップをする人なんですよ。
それで1stのときは、それに合わせる自分は必ずしも日本語じゃない方が良いかもなと思ってそうしたんですけど、2ndではONISAWAくんからの要望もあったので日本語に戻しました。
いざ日本語でやってみると楽しかったですね。
英語だと自分のやりたい譜割りでそのままラップ出来ちゃうんですけど、
母国語の日本語になると、普段喋ってる感じの延長で譜割りしようとするとなん変わった感じになる。
結構そこは面白いなと思ってやってました。
─日本語・英語を織り交ぜる中で意識するようになった点はありますか?
SOMAOTA:
あります。
英語でやってたときから日本語にスイッチすると、英語でやってるときより良くないといけないじゃないですか。
「英語でやってたときの方が良かった」とか言われないように。
だから日本語でラップするときはカッコ良いワードをチョイスすることに凄くこだわりました。
ちなみにソロで出した”Nori Nori Daze”(『Nori Nori Daze』収録、後述)も、2ヴァース目の英詩が先に出来て、
それに勝つインパクトのものでないと、と思って日本語の1ヴァース目が出来ました。
自分に限らず、日本語、英語両方使ってラップする人はみんなそこの使い分けはかなり考えてやってると思いますね。
─Black petrolでもソロ活動でも、「自分や社会」といった存在を凄く不安定に捉えているのが魅力的かつ印象的です。
アーティストとしてのスタンスも自己に内在する感情を吐露する所を大事にしていますね。
SOMAOTA:
そうですね…スタンスみたいな軸と言うよりは、その時々で結構精神的に揺れ動いてた感じを曲にするとこうなるというか。
結構、今日も明日もどうなるか分からない、みたいな心境の時に、とにかくリリック書いて、ラップして、曲にして、聴いて踊って…そんで寝る、みたいな生活だったんです。
そういう自分の内的な葛藤を音楽にする、みたいな活動が音楽をやる原動力になってました。
いや、原動力って言うと良い意味に聞こえちゃうんですけど、もっと切実に「曲にする以外に道がなかった」っていうのが正しいです。
だからNeo Buddhistの『√』も、さっきは復学する前に形にしとこうと思ってって言いましたけど、正確にはもっと切羽詰まってて、これを出さないと次に行けない…と思って出したんです。
あとでも言うように今はまた違う心境なんですけど、Black petrolの1stや、ソロ曲の”Nori Nori Daze”のときまではそういう心境で。
この音楽がどう評価されるか、とか気にせずに作り続けてました…それこそラップ入りの曲だけで400とか500曲くらい作ってました。
─じゃあ、内的な葛藤を吐き出す為の音楽で、あまり社会がどうとかって感じではなかったんですね。
SOMAOTA:
そうですね、社会がどうとかは考えてませんでした。
ただBlack petrolの2nd『UnIdentified ChildRen』では、主にONISAWAくんが「キャピタリズム」みたいな言葉を出して批判的に歌ってますね。
あれは社会批判と言うよりは…例えば資本主義・民主主義の様なシステムや社会構造そのものに対して「アートが無駄なものにされる」という危機感、それによって生まれる弱者、みたいなところにフォーカスしてて。
「壁」と「卵」の話じゃないですけど、構造やシステムがそびえ立つ「壁」で、僕らはそれにぶつかって割れてしまう「卵」みたいな弱い存在だけども、「卵」たちで力を合わせて戦っていこうぜ、というメッセージはありましたね。
僕も自分自身が上手く生きられないみたいな部分の思いを、周りの環境や構造にも言及して歌ってます。
だから対社会というよりは、あくまで自分のことを歌う中で取り巻く環境にも言及してるって感じかなと。
─次にSOMAOTAさんのソロ活動について聞かせて下さい。
1st EP『Nori Nori Daze』(2020年)が出ましたが、特に表題曲は今のお話にもあった通り、そうした精神状態を反映してるんですね。
だから若者たちの退廃的な葛藤を描いたイギリスの青春映画・トレインスポッティングの描写がよく出てくる。
SOMAOTA:
そうですね。
なんであの映画を出してるのかって言うと、マーク・レントンって主人公がいるじゃないですか。
あいつはラストでサラリーマンになって、ちゃんとした未来を生きることを選んだんですけど。
その…最後の最後にいい子ちゃんになって終わるみたいな部分に自分を重ね合わせる部分もあったりして。
あれは1996年の映画ですけど、ギリまだヒッピーな時代の匂いも残ってる気がするし…もし20年越しにマーク・レントンが生まれたら俺みたいになるんじゃないか、と思いました。
だからオマージュや引用と言うより、重ね合わせに近いです。
─その後もこのEPは、SOMAOTAさんのリリックを借りれば「ハレとケを繰り返す」ような、曲によってある種躁鬱的な静と動が続きますね。
このEPの一連の背景・位置付けを教えて下さい。
SOMAOTA:
僕はラップスタイル的にKid FresinoとKendrickの影響をめちゃくちゃ受けてるんですよ。
それこそフローとか似てきちゃったときに、自分の色を出すのに悩んだこともあって。
このEPの4曲は、それが出せてると思ったから選んだって位置付けなんです。
だから基本的には以前作った曲なんですけど、フロウを主な基準に選んでます。
2曲目の”You ain’t a Kid NO MORE”については、空音の”Room 103″って曲があるんですけど。
その曲は初体験のことを歌ってるんだって本人に聞いて。
そういう自分の体験をそのままリアルに描くって言うのを僕は恥ずかしがってる部分があったんですけど、
自分もそれをやってみるかと思って書いた曲です。
だから自分の恋愛遍歴みたいなものを描いてます。
あと、曲名は「もう子供じゃない」って意味ですけど、これはKid Fresinoにも掛けてて。
自分が影響を受けたKid (Fresino)じゃなくて、お前はもう自分自身がラッパーなんだぞ、って言ってる意味もあります。
3曲目の”GENSOU”については…僕は(京都の)鴨川の近くに住んでるんですけど、
深夜に鴨川の近くを歩いてたらなんか鹿がいて…その時の情景が幻想的だなってところから始まった曲です。
それを起点に、自分の感情がめちゃくちゃ振り切ってる時の思いを載せようと思って書いた曲ですね。
4曲目の”u hav to change out, but not hav to know the place u reach out feat. NeVGrN”については…キリスト教のマリアと話をして、旅立つ曲なんですけど。
僕は休学中にインドに旅をしてた時があって…その時にマリファナを吸ってバッド入ってたんですけど。
その時に女の人の声で聞こえてきた幻聴みたいなのがあって、その時のセリフが曲名になっています。
この曲はマリアに代表される、母性的な…依存してしまう存在に対してのお別れを告げる曲なんですよ。
EPの最後に持って来たのもそういう理由で、自分のそういう度が過ぎた不安定さとかに別れを告げて歩き出す、っていう位置付けになっています。
自分の中で整理を付けて歩き出す…っていうのが実際に出来たのは、曲を出してからしばらく経ってからですけど。
─なるほど。
そうした内面を描き切ったEPから、次にNeVGrNさんとの共作『O.I.E』(2020年)が出ましたね。
SOMAOTA:
NeVGrNは空音のアルバムに参加したりしているラッパーなんですけど、関西に来てから出会った人の中でも凄い才能だと思ってて…自分の1個下なんですけど。
で、お互いの作品に客演するみたいなのを続けてた中で「せっかくだし一緒にEP作りましょう」ってなりました。
元々僕は彼の音源がApple MusicやSpotifyに全然出てないのがすごく勿体ないと思ってたんで、彼の曲をもっと色んな場に出したいなと。
とは言え自分は本職のビートメイカーって訳でもないんでラッパー同士の共作、って形になりました。
だから基本的にはNeVGrNに気持ち良く歌ってもらえるような形にしてます。
それこそ最初はKing Gnuとか米津とか…ああいうちょっとポップ目なスタンスの作品を狙いました。
聴かれやすい作品を出す、ってのを目指した感じです…めちゃくちゃ難しかったですけど笑
─そういうポップなスタンスを狙えるようになったのは、先にお話されたような精神状態から変化があったからですか?
SOMAOTA:
そうです。
作ってる最中に思ったのは…なんか、尖っててヤバいもの、突飛なものを作ろうみたいな意識から、長い期間を掛けて良いものをしっかり作ろう、って感じに変わってきました。
以前は先に言った通り音楽に依存して、とにかく吐き出す、助けて音楽、って感じだったし、それが音楽の音楽たる所以だと思ってた。
今は音楽と、依存関係というよりは良い友達みたいな関係です。
なくてはならない存在には変わりないんですけど、自分の方が安定して音楽と付き合えるような精神になった。
そこが凄く自分の中で大きな変化でした。
生活も無茶苦茶だったのが落ち着いて、色々ときちんと取り組めるようになりましたし。
だから『O.I.E』でも、これまで出来なかった優しい部分みたいなところが出せるようになっています。
─吐くために酒を飲んでた感じから、今は味わって美味しく酒を飲めるようになった感じですね。今は音楽と綺麗に付き合えると。
SOMAOTA:
そうですね。
もちろん吐いて出す、俺にはこれしかないってスタンスだからこそ書ける曲もあるし、良いラッパーもたくさんいます。
ただ自分の精神状態としてはそんな風に変わりましたね。
それ以来、自分の中でもっと色んな音楽を聴いて楽しめるようになりました。
今は楽しいですね。
─ありがとうございます。
今後の動きについて、予定しているものがあれば教えて下さい。
SOMAOTA:
Black petrolの方は、配信限定で出してる『UnIdentified ChildRen』が11/11からプレスされて全国流通しました。
それに加えてアルバムが来年3月くらいに出る予定で、それに向けたシングルも幾つか出る予定になってます。
2ndよりも複雑な感じもありつつ、もっと洗練されたものになってると思うので楽しみにしてて欲しいです。
実は客演も入るんですけど、今は秘密で笑
僕のソロについては、トライコットっていう関西の超カッコ良いバンドの曲に僕がラップを載せたREMIXが2曲出る予定です。
それから3月頃にはソロアルバムを出そうかなと。
ただ作ってて出してない曲が結構あるんで、アルバムとは別にそういうのを出す動きもするかもです。
これまでメディアの露出とかは絞ってましたけど、今後は出て行きたいですね。
─ありがとうございました。
以上 (2020/11/13)
───
SOMAOTA 1st EP 『Nori Nori Daze』
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