Column/Interview

まずは配信デビュー作となった”POWER”のMVを聴いて欲しい。すべての話はきっとそこからだ。このMVを見終わったリスナーであれば、きっとNytureをこのような初期に取り上げる意味は伝わることと思う。確かなスキル、発声、そして何より、その佇まい。彼が「俺の周りには昔から自然と人が集まる、だから”Clout”(=影響力、カリスマなどを示すスラング)」と語るところに嘘はない。東京は足立区のシーンから、牙を磨いて突如登場したMCの素顔に迫る。

登場する主なアーティスト(順不同):
IK, Tim Pepperoni, G-YARD, KOHH, BFN TOKYOTRILL, Koshy, AK-69

─Nytureさん、本日はよろしくお願いします。

Nyture:
Nyture(ネイチャー)です、東京都足立区生まれ、足立区育ちの23歳です。よろしくお願いします。

─足立区といえば、最近我々の方でもBFN TOKYOTRILLさんにインタビューしました。いま東京で熱いエリアのひとつですね。

Nyture:
ですね。実はBFN TOKYOTRILLといまジョイントでアルバム作ってます。俺らとビートメイカーのKoshyで組んでやってるとこですね。

─熱い3人ですね!今後勢いに乗ってくる中で、今日は基本的なところを教えて下さい。まず、NytureさんのMC名の由来は何ですか?

Nyture:
これは感覚ですね。あんま無理せず自然体でいることが大事だって思って、その流れで自然に付けた名前なんです。そのまま「Nature」だとちょっとアレかなと思ったんで、「a」を「y」に変えたっていう…この辺は感覚です。

─プロフィールなどでも、かつて荒れた生活を送っていたとあります。元々どんな生い立ちだったんですか?

Nyture:
まあ、言っても普通ですよ。3つ離れた兄がいるんですけど、兄貴と母親…母子家庭で、父親がいつも変わってく中で一緒に足立で育ってきた、そんな環境です。でもまあ、荒れたって言ってもそんなですよ(笑) ちょっと学校に行ってなかったり、ちょっとやんちゃだったくらいで、全然です。

─その生活の中で、HIPHOPにはどう触れてたんですか?

Nyture:
自然と触れるようになってましたね。そんなにのめり込んで聴いてたってわけじゃないんですけど、いつの間にか自然と周りにあって聴いてる音楽みたいな。でも…小学校の高学年くらいの頃に自分の兄貴がAK(AK-69)とかを聴いてて、それで意識するようになったのは覚えてます。その辺が最初なのかな。あとは母親がずっとブラックミュージックを聴いてて…Michael Jacksonとか。そういうところも影響はある気がします。

─そこから自分でも音楽をやる、と決めた流れはどんなものだったんですか?

Nyture:
音楽を始めたのは2020年頃なんです。経緯としては、(NytureのMV撮影やマネージングを手掛ける)IKとの関係が大きいですね。元々IKは全然普通の…自分とは違うタイプのヤツなんですけど、小学校のときに俺がAKとかをあいつに教えたんですよ。そしたらIKがHIPHOPをすげえディグるようになって。そこからは俺も逆に色んなアーティストを教えてもらうようになって…そんな関係だったんです。そんなときに、19歳とか20歳の頃かな…IKが「MVの撮影するようになった」って言ってて。「ああ、そうなんだ」って思って聞いてたんですけど、IKが「Nytureも音楽やってみたら」って言ってくれた。それが直接的なきっかけです。

俺の中ではそれまで「音楽やるの面白そう」っていう思いはありつつも…なんかめちゃくちゃやりたい、やらなきゃってものがあった訳ではなかったんですけど。でも、IKは小学校以来ずっと俺を見てくれてた中で、なにか感じてるものがあったんじゃないかって。そう思ってます。で、そのタイミングで地元の他の仲間もビートメイク始めたとか、機材揃えたみたいな話が出てきて。じゃあみんなで始めればなにか面白いものが出来るかなって、そういう側面もありました。

─そこから2021年末に”POWER”を出すまでの2年ほどの間は腕を磨いていた期間だったと。

Nyture:
そうですね、地元で仲間と曲作って、ひたすらサンクラに上げるみたいな。でも…今もサンクラは残してますけど、曲はほとんど消しちゃいましたね。俺の中では一貫して作ってるけど、やっぱ他の人が昔の曲を聴いたらどうなのって部分もあると思うんで。

─Nytureさんの周りの仲間について教えて下さい。Sound’s DeliのTim PepperoniさんやG-YARDさんがいたかと思うと、Showyの2人(ShowyVICTOR, ShowyRENZO)など、間違いない面々が揃っています。

Nyture:
まず…地元の仲間として、ラッパーにSEEFとLOUDEがいます、チェックしてみて下さい。あと、地元は違うんですけどずっと一緒にやってる仲間として、ビートメイカーにPulp Kがいます。Pulp KはIKが連れてきて…俺が音楽始めるちょっと前くらいから知り合ってます。あいつはもう、今は毎日全力ダッシュで活躍してますね。Pulp K含め、IKからの引き合わせは色んなところでデカいです。あと足立区っていうところで言えば、BFN TOKYOTRILLは年齢的には先輩ですけど、現場とかじゃなく直で繋がりました。”POWER”を出したときにチェックしてくれたみたいで、直接連絡が来て、それで一緒に曲も作ろうってなりました。

Sound’s DeliのみんなやShowyの2人もIKやPulp Kの紹介ですね、”POWER”とか出す全然前からの繋がりです。「気が合うと思うから会ってみれば」って言われて、そこからの仲です。一緒にライブ出たりすることも増えてきました。最近はブッキング自体増えてきてるので、ありがたいっすね。

─突如出たデビューシングル”POWER”でいきなり耳の早いリスナーにチェックされたわけですが、これを最初のシングルにしようと思った理由は?

Nyture:
特別な理由があったわけじゃないんですけど、いつもと違う作り方をした曲だったんです。いつもは歌詞も書かないで、フリースタイルで作り上げてくスタイルなんですけど、”POWER”はビートスイッチもあるのでちょっと腰を据えて作ろうかなって。そういう姿勢で作った曲だからこれを出した、っていう面もあるかもしれません。

でも、これでストリーミングに出そうってなった流れは、直接的にはIKとの関係で。この曲を作ってる最中に、IKと「MV撮ろうよ」って話になって、曲作りとMVの制作が同時に進んでったんです。IKも地元の仲間とのMV撮影だといつもと違う雰囲気でノッてきて(笑) そんな作業が並行して進んでううちに、自然と”POWER”をストリーミングに出すかって流れになっていきました。

─ほかの曲でもっとメロディアスなラップをベースにされていることを思うと、”POWER”のゴリゴリラップするさまは少し他とは色合いが違う気もします。

Nyture:
それはやっぱり普段とは違う作り方をしたからでしょうね。自分の中で意識して変えた訳ではないんですけど、結果的にそういう違いが出てるんだと思います。

─デビューシングルとしてリリースされ、今回のミックステープでもラストを飾る”POWER”ですが、シングルのときからビートが変わりましたよね。

Nyture:
そうですね、シングルのときはマスタリングをしてなくて。ミックステープに収録する曲は全部CRYSTAL SOUNDのMUROさんにマスタリングしてもらってるんです。音として全然カッコ良くなったっすね。

─そこから2ndシングル”Clout”を出して『PLAYGROUND MIXTAPE』のリリースになったわけですが、この制作に至る背景を教えて下さい。

Nyture:
出すタイミング自体は自然な感覚ですね。2枚出したから次はまとまった作品かなっていう。ただ、1stアルバムっていうとまた違うのかなって自分の中では思ってて。別に聴く人は自由に捉えてもらって良いんですけど、今回のはまだアルバムじゃなくてミックステープだから、っていう、自分の中での違いがあって、こういう位置づけにしてるっすね。ミックステープはあくまで自然に出来た曲を詰め込んでる感覚なので、アルバムになるともっとガチガチに作り込んだやつを出します。

─そうなると、ミックステープのコンセプトかも明確なものがあるわけではない?

Nyture:
そうですね、全体を統一するコンセプトみたいなものはないんですけど。姿勢としてはタイトル通り「遊び場(=Playground)」なので。昔から遊び場に溜まって遊ぶ中で出来た曲を入れた。コンセプトと言うか、そういう雰囲気は一貫してますね。

─客演にはShowyRENZOさんとShowyVICTORさん、要はShowyのみを2曲にフィーチャーしました。この理由は?

Nyture:
特に狙って2人だけを呼んだ訳ではもちろんなくて。タイミングとして遊んで、作って、ミックステープに入れて。そういうタイミングがあった中で2人との曲が入った感じです。まだ他にも客演呼んで作ったストックとかもあるんで、期待しといて下さい。

─冒頭の”STAMP!!”はビートスイッチや変声も多用した新機軸の曲ですが、本作について教えてください。

Nyture:
全曲に言えるんですけど、今回ほんとに遊びながら自然に作って出来た曲なんですよ。Pulp Kとかと話しながら自然に出来ていって…だからコンセプトとか詳しい何かがあるわけではないんですよね。

─この曲はいま注目を集めるチャンネル・03-Performanceでも披露されていましたね。

Nyture:
そうですね、Instagramでフォローされて「やりませんか」ってDMの連絡が来て。この曲聴いてもらったら反応良かったんでやりました。ああやってチェックしてもらって、声を掛けてもらえるのはありがたいですね。

─”WDYT”はラップはもちろん、途中から挿入される極太のベースサウンドが印象的です。この辺はプロデュースサイドの話だと思いますが、Pulp Kさんと話したことなどあれば教えてください。

Nyture:
もうこの辺はPulp Kのセンスですね。普段からめちゃくちゃ色んな音楽をインプットしてて、その中であいつのセンスで作ってくれる。いつも溜まってるスタジオでそうやって出来上がっていきます。

─”ODYSSEY”は他の曲でも片鱗を見せていた、Nytureさんのメロウな部分がスペーシーなTrapに乗る心地良い作品です。

Nyture:
これは今まであんまりやったことのないビートだったんで、やってみるのも面白いかなと思って挑戦しました。この辺の歌うしラップもカマすしみたいな雰囲気は、結構KOHHさんとかに影響を受けてるかもしれません。USだとそれこそTravis Scottとか。

KOHHさんは自分の隣町出身で…たぶん育ちも境遇もそんなに変わらないんじゃないかって思うんです。それでこんなに自由にラップして、自由に生きれるんだって。そこはかなり食らった部分です。

─”Clout”はリリック的に最も想いのこもった曲ではないかと勝手に思っています。「後輩俺の曲を聴き歌詞を書いてる 俺が憧れたように俺に憧れてる」など、ADCのコミュニティを背負い、過去に触れる作品ですが、どんな思いで作った曲でしょうか。

Nyture:
あれは激しい曲なんですけど、みんなで泊まって起きた、朝に作った曲なんですよ。寝起きなんだけどあのテンションっていう(笑) この曲は「Clout(=影響力、カリスマ性などを示すスラング)」って単語がピタッとハマったんですよね。俺の周りにはいつも自然と人が集まってくる。そういう自分の雰囲気を思ったときに、自然に「マジパねえClout」ってリリックが出てきて完成しました。足立を背負ってくとかっていうことではないんですけど、先頭を走ってくぞって思いは…自然に出てるんでしょうね、きっと。

─最後に、今後の予定について教えて下さい。

Nyture:
BFN TOKYOTRILLとのジョイント作品が出るってのは最初に話した通り。あとはShowyVICTORとの”WAGAMAMA”はMVが出る予定です。自分が客演してる曲も…まだ言えないですけどちょこちょこあったりするんで、これからタイミングでリリースされていくと思います。

いま自分を知ってくれてる人はありがたいです、今後も応援して下さい。まだ知らない人は…いつか知ってくれれば嬉しいですね。

─結構「リスナーは早く俺を知れよ」みたいな雰囲気かと思ったら、そうじゃないんですね(笑)

Nyture:
そうですね、結構言われます。曲の雰囲気からするともっとガツガツした感じだと思われがちなんですけど、こんな感じですね。でもまあ、自然とみんな知ることになると思いますよ、きっと。

─ありがとうございました。

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2022/07/31
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作品情報:

Tracklist:
1.STAMP!!
2.WAGAMAMA feat. ShowyVICTOR
3.WDYT?
4.ODYSSEY (free ma body)
5.Clout
6.YELLOW
7.GIMME DA LOVE feat. ShowyRENZO
8.POWER

Artist: Nyture
Title: PLAYGROUND MIXTAPE
2022年7月7日リリース
Stream: https://linkco.re/fpNUXZy1?lang=ja

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