[独自] 200本のインタビューを行いJ Dillaの偉業と実像を描き出した書籍『DILLA TIME』が刊行 [2022/02/03]
デトロイトの偉大なプロデューサー/ビートメイカーであり、2006年に逝去したJ Dilla。彼を200本のインタビューによる調査で解き明かす書籍『DILLA TIME』が発売された。
本作は、作者のDan Charnasが200本近いインタビューを行い、徹底的にJ Dillaを検証した書籍。J Dilla自身は生前ほとんどインタビューを受けなかったため(Charnasによるとわずか16本とのこと)、彼にゆかりのある人々からの証言を重点的に行い本作が完成した。
本作は彼のキャリアや音楽性について詳述するのはもちろんのこと、「神格化されてきた彼を人間らしくする」ことを目指す。J Dillaの病状や寡黙な人間性に触れつつも、本作でCharnasは彼の短気で嫉妬深いところや、時に友人に暴言を吐くような側面も臆さず描写。中学時代の友人らからも話を聞き、人間としてのJ Dillaを丁寧に描写していく。
その流れで、本作は「J Dillaがいかにプロデューサーとして自分の名前を認知されるか、クレジットされるか」を非常に気に掛けていたことも明かす。例えばJ DillaはD’Angeloの傑作『Voodoo』(2000年)の制作に大きく関わったことで知られるが、結局J Dillaが直接手掛けた曲はどれも完成には至らなかった。最後に『Voodoo』の完成版を渡されたとき、J Dillaは自分の名前がどこにもクレジットされていないのに深く落胆したという。Charnas曰く、「J Dillaは見られる/知られることに苦労していた」と語っており、「プロデューサーがどう適切にクレジットされ認知を得るか」にJ Dillaでさえ悩み抜いていたことが窺える。
そうした苦悩を抱えて逝去した彼に対して、Charnasは「本作はファンの彼に対する熱狂が正当なものだったんだと説明するためのものだ」と語る。「あなたは間違っていなかった。あなたのJ Dillaに対する愛情は間違いじゃなかった」と。
作品情報:
Author: Dan Charnas
Title: DILLA TIME (洋書)
2022年2月1日発売
Purchase: https://www.amazon.co.jp/dp/B092T8M4KB/ref=cm_sw_r_tw_dp_54PPWJWY5RKJ4XFXHG86
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