インタビュー: C. Karter - 暴発も超え、その先のヒーローへ。


東京で活動するC. Karter。
ソロマイカーとして音源を発表し、MCバトルでは時に相手に食って掛かるバチバチなスタイルが注目を集めた。
一方でミクスチャーバンドのヴォーカルとしても活動し、シーンの中で独自の存在感を放つ。
2020年10月7日には最新シングル "BLOW OUT" を発表しソロアルバムへの動きを加速させる中で目指すものは何か。

「自分はバトルでキレてるイメージや、『90'sのBoom Bapが好きなんでしょ?』みたいなところからアップデートされてない。
その、自分はヒーローになりたいのになり切れてない、"LAZY WALK"はそんな曲として書いたんです」
 


登場する主なアーティスト(順不同):
BES, MU-TON, LL Cool J, JAY-Z, ワイジニアス, ID, ZIO-RAMA, Felipe, DJ KURUTCH, LORD 8ERZ, KZ, ACE, Sound's Deli, MC正社員, JESSE


バンド活動からSCARS, SD JUNKSTAとの出会い


─まずは基本的なプロフィールを教えて下さい。

C. Karter:
C. Karterです、東京でラッパーとして活動してます。
ちっちゃいころから色んなところを転々としてて、鳥取で生まれたらしいんですけど生まれて3か月とかで引っ越して…千葉行って東京の杉並いて…ベトナム行って熊本行って東京の新宿に戻ってきたみたいな。
だから一番長いのは東京で、フッドとしては東京って意識でいます。
 
MC名の由来は、自分は何でもいっぱい意味をダブル・トリプルミーニングにして詰め込みたいタイプで。
ひとつ目に、自分の本名が「タカマサ」なんですけど、そこから「タカ」のラッパーとして活動するときっていう意味合いを込めてます。
次に、自分が初めて買ったHIPHOPのCDがJAY-Zの『The Blueprint 2』(2002年)なんですけど、そこでJAY-Zかっけーってなったりして。
そのあとLil Wayneもかっけーってなって、なんかレーベル持ってて金も持ってるラッパーはみんなカーターなんだなって思いました。
で、日本にそのカーターっていないなって思ったので、自分もそうなるぞってことで付けた名前です。
(*JAY-Zの本名がShawn Corey Carter、Lil Wayneの本名もDwayne Michael Carter)
 
 
─『The Blueprint 2』を買ったりする前、音楽の原体験はどんなところにあるんですか?
 
C. Karter:
元々父親が自衛隊なんですけど、趣味でバンドもやってて。
それでハードロックとかエリッククラプトンとかレッドツェッペリンとかCharを聴いて育ちました。
でも当時は別に特段好きとかでもなかったんですけど、中学入るときにエレキギターやりたいってなって、
その頃パンクとかを自分で聴き始めました。
 
 
─そこからHIPHOPに興味を持ったきっかけは?
 
C. Karter:
HIPHOPもパンクと大体同時期に聴き始めましたね。
最初に聴いたのはLL Cool Jの"Mama Said Knock You Out"でした。
当時確か2005年くらいの、Youtubeが出来立ての時とかで、たまたまサムネを見てクリックしたら、
なんかブチ切れてる屈強な奴が、その思いをあくまで音楽で表してるみたいな映像が流れて…そこに惹かれました。
 
 
元々親父が趣味でずっとドラムやってたし、リズム系の音楽はハマりましたね。
それで今まではバンドが好きだったんですけど、LLはなんか1人で戦ってるし、屈強だし、音楽もループだし…新鮮で。
バンドだとずっと同じループ、みたいなのは結構退屈だったりしますけど、HIPHOPは同じビートでも乗った奴の数だけ個性があるし。
そういうところが好きになりました。
 
そこから、周りにはバンド好きな友達しかいなかったので、自分でディスクユニオンに言ってBiggie (Notorious B.I.G)とかDMXとかを漁り始めました。
当時は西と東のサウンドの違いとかも分かんない中で漁ってましたけど、その時の自分がカッコ良いって思ったのは結果的に東側に多かった感じです。
そのあとウータン(Wu-Tang Clan)とかも聴いて段々東に寄ってって…そっちのHIPHOPで育ちました。
 
逆に2Pacとか聴いたのはもうラップ始めてしばらく経った…5年前くらいとかになってやっとですかね。
自分の所属するクルー・D.E.D.D(2MC1DJ。現在オルガンバーの店長のベアがMC)のDJ mondenに聴かせて貰いました。
聴いてみたらヤバいってなって、映画のAll Eyes On Meとかも観てかっけーなみたいな笑
なので今やっとウェッサイが体に染みてきてます笑
東ならまず東を食い切る、みたいな食べ方なんで、いま西を聴いて新しい味を覚えるのは楽しいですね。
 
 
─そこからラップを始めたのはいつ頃ですか?

自分はそのまま19とか20歳くらいのときにちゃんとしたバンドを組んだんですけど、
それはそのまま続けながら、音楽の幅も広げたいしラップも好きだしっていうので、21歳くらいのときに始めました。
 
食い切りたいものの…やっぱ欲張りなんで、どっちかに絞るとかじゃなく両方食べたいのもあって笑
美味い物はどっちも食いたいです。
だからバンドでも、歌うしラップするしシャウトもするしで、全部やります。
 
 
─始めるきっかけは何かあったんですか?
 
C. Karter:
上で話した通り、自分はUS中心にHIPHOPを聴いてたんですよ。
高校の時にキングギドラとかも聴いてたんですけど、別に変な意味とかなく、なんとなくHIPHOPはアメリカのものかな、みたいな意識があって。
でもそこからSCARSとかSD JUKSTAに出会って…特にBESさんに衝撃を受けたんですよね、かっけー!って。
 
BESさんの中でも"On A Sunday"(BES『REBUILD』(2008年)収録)ってあるじゃないですか。
あのアルバムは1枚通してイリーガルなカッコ良さが詰まってるんですけど、最後のあの曲でいきなり自分の弱さみたいなのを歌ってるのを聴いて、
「あ、別に超ギャングとか悪くなくても、俺みたいな中途半端な奴がそのままのことを歌ってもいいんだ」って思った。
かつBESさんがその後パクられたと思うんですけど、「この人が出てくるまでに成長して一緒に曲やりたい」って思って始めました。
BESさんが最近復活してから何度か現場でお会いしてデモとかお渡しさせて貰ったんですけど…まだ連絡はないですね、お待ちしてます笑



なので日本で一番影響を受けたラッパーと言われれば、間違いなくBESさんですね。
それまでは自分で遊びでリリック書いてもケツで韻踏まなきゃみたいな感じが強すぎてアレだったんですけど、
BESさんを聴いて「なんだ、もっと自由にやっていいんだ」って思って。
それからはかなりラップがやりやすくなりました。
だから韻をケツじゃなくて色んな所で乗せて良いんだ、みたいなのはBESさんと……あとその辺でNORIKIYOさんも凄いなと思って影響を受けました。


MCバトルでの確執、次のステップへの決意


─ラップを始めて初期の活動は?
 
C. Karter:
サイファーです。
自分はバンドもやって録音とかは慣れてたのでラップのデモ音源も録ったりしてたんですけど、どこで発表すればいいんだみたいなのが全然わからなくて。
そんなときにちょうど高校生ラップ選手権とかが流行り始めたんですよね。
それで「サイファーがあります!」っていう情報とかをTwitterで見たりして知って。
自分もやってみようかなと思って、当時の(ACEらが主催する)新宿サイファーに行きました。
 
そこで(現在はSIMON JAPのYoutube等にも登場する)Felipeと出会って。
「俺たちのマインドで出来る何か別のサイファー始めようよ」ってなって、2013-4年くらいに原宿サイファーが始まりました。
そしたらみるみる人が増えて…(梅田サイファーの)KZ君とか、ACE君、bunTes(Buzzbrats)、フォレストさん(forest55)とかも来てくれて。
Sound's Deliの(Gypsy Well as )TORA-Gとかはめっちゃサイファーキッズで、サイファーがあるところを色々回ったりしてましたね笑
その当時TORA-Gとかは一緒にバトル出てて、「もっと韻だけじゃないラップしろよ」つってSIMI LABとか、それこそBESさんのCDを貸したりしてました。



そうしてるとライブの誘いとかも来るようになって、現場に立つようになっていきました。
そこで出会った奴の中には、ラップが好き過ぎてサイバーエージェントに行ってアーティストを支える側に行く奴も出てきたりとか、色んな出会いがありました。
バンドのときと違ってクラブの場所も分からないのでそんな感じで……いま思うと凄いストリートな始め方でしたね笑
 
 
─サイファーの流れで言えば、C.Karterさんと言えばMCバトルでの活躍から知られた方も多いと思います。
 特にバチバチなスタイルの印象を持ってる方も多いと思いますが、この辺りの経験について伺えますか?
 
C. Karter:
やっぱりそうですよね~そこの印象が強いですよね笑
多分大体の人は(2016年「罵倒×戦極サイファー予選」の)ワイジニアスとのバトルでキレてるイメージが強いと思うんですよね。

 
なんかあのバトルのあとから年上・年下、色んなラッパーから連絡を貰ったり話しかけられたりしたんですよ。
「バトルってあんなにHIPHOP押し出してバチバチにやっても良いんだって気付いて、自分も始めました」みたいな。
MU-TONくんも初めて会ったときに「俺もカーターくんのバトル見てバトル始めましたよ」って言われました…本当かわからないですけど笑
 
ただあのバトルが象徴的だと思うんですけど、よく言われる通りMCバトルの健康的なスポーツ化みたいなのはあるなって思いますね。
ちょうどいま分岐点みたいな感じだと思うんで、バトルのコメント欄もストリート派とスポーツ派で半々に分かれてて…だから僕はコメント欄読むのめっちゃ好きです笑
特に反対意見の人たちの方が好きですね、たまに「確かに」みたいに思うときもあるし。
 
でも、ワイジニアスとのバトルの動画はアップされた時の1回しか見てないです。
自分が本気で怒っちゃったときなので、恥ずかしくて。
 
 
─「C. Karterって毎回裏で相手をシメてんのかな」みたいなイメージは付きやすいかもですね、あれ見ると笑
 はなびさんとのバトルなんかは良い意味でのバチバチが最高に出てましたが。
 
 
C. Karter:
戦極のMC正社員が悪い人で笑、俺がキレてる系のバトルばっかりアップするんですよね笑
まあ自分のキャラを立てる為にやってくれてるんだと思うんですけど。
 
ワイジニアスとのバトルの前にももうひとつ上がってて、それが芸人でもあるMC御存知とのバトルなんですけど。
 
 
このバトルはビートがSD JUKSTA "人間交差点"だったんです。
自分の大クラシックだったので「思い入れのあるビートだしカマすしかねえな」と思ってたんですけど、
相手が「客を笑わせたら勝ちでしょ」みたいなノリで、リスペクトも何もない感じでアプローチしてきたんでずっとメンチ切っちゃったんですよ。
それも動画に上がってるから、戦極の動画に出るときは「C. Karterはブチ切れてる人」みたいになってる笑
でもMC御存知さんとは3年後くらいに和解して、自分のバンドのライブにもお笑い芸人のショーの枠を持ってもらいました。
 
自分がMCバトルで求めてたのって「お前はどういう奴なんだ、何が好きなんだよ」っていう対話なんです。
自分の相手がどういう奴か知りたい。
多分原宿サイファーとかでお互いに自分のことを語りながらしてた名残があるのかもですけど。
そういうバックグラウンドなんで、相手が自分の言うことを無視してきたり、何に関してもリスペクトを感じない態度だったりするとイラっときちゃいますね。
ワイジニアスとのときは、自分の言うことに全然アンサー返さないし、でも自分のことをずっと馬鹿にしてくるしっていうので……キレちゃいました。
 
 
─結局ワイジニアスさんとのバトルは、あのあとどういうことになったんですか?
 
C. Karter:
実はあのとき、(フリースタイルダンジョンにも出ていた)IDがあのバトルのステージの横にいたんですよ。
あいつとはずっと仲良くて、自分が無理やりMCバトルに連れ出してたりしてた頃でした。
で、バトルが終わった瞬間に俺がなんかやりそうだったんであいつに「おいっ」て止められて。
その直後に先輩のZIO-RAMAさんが「カーター!ビール飲もう!」って叫んできて…それで和まされて笑
そのままビール飲んでる間にワイジニアスは消えちゃってて…。
 
でも、俺はそのバトル勝ったんですけど、次の試合がMAKI DA SHITが相手で。
試合中にふと見たら最前列にワイジニアスがいて、なんとも言えない表情で見てたんですよね。
彼とは結局そのまま話せてないです。
 
 
─お笑い芸人の方や、いわゆる最近のスタイルでMCバトルを始めたラッパーとはスタンスのズレみたいなところは生まれるかもしれませんね。
 
C. Karter:
自分がバトルを始めたきっかけって、EMINEMの「8Mile」を見たからなんですよ。
それを見ると、まだ名前もない奴が「俺はこうなんだ」って主張して成り上がってく。
それがカッコ良いなと思って始めたので、自分もそういう動きをする為のきっかけとして、だったんですよね。
だから今でも自分にとってのバトルは「8Mile」のマインドだし、そうでないラッパーと当たったりするとやる気なくなるし、
「お前なんで出てんの?」ってイラっとしちゃうっすね…。
 
別に楽しむためのバトルでもジャムセッションみたいになれば音楽的ですけど、
スポーティ過ぎて順位や相手に勝つことが先に来ちゃってるみたいな。
 
 
─最近はMCバトルに出るのを以前より控えてますね?
 
C. Karter:
そこはちょっと、ちゃんとしとかないとっていう思いがあってそうしてます。
バトルで勝ち上がった時に、しっかりアピール出来る音源がないなって思ったんですよね。
別に音源自体はすぐ作れるんですけど…自分っていうアーティストの形やコンセプトを詰める作業よりも、
「まずはバトルに出てのし上がる」みたいなスタンスでやった結果、なんかバトルばっかり呼ばれるようになってきちゃって。
 
心に残ってるのが、大阪であった戦極の本大会にIDと自分が呼ばれて出たときがあって。
前日にライブやって、すぐ飛行機で大阪に来てバトルに出て…って感じで頭回んなくて、自分もIDも1回戦で負けちゃったんですよ。
悔しいなって思ったんですけど、そのときIDは当時組んでたクルーのCDをめっちゃ持って来てて、「俺、今日これが全部売れるまで帰んねえから」って言ってて。
 
で、よく考えたら俺は特にこの場で売るもんがねえじゃん、みたいな。
バトルに呼ばれて出てはいるけど、ほんとは次に繋げなきゃいけないのにこの手には何もない、って。
なので音源をちゃんと作って、動きを見据えないとなって思ったって感じです。
 
なので2年前くらいからは、前みたいにバンバン出るのは止めました。


HIPHOPにJ-Popの構成を取り入れるということ、タイプビートの役割
 
─そこからは音源制作に注力されてますね。
 以前からゲリラ的にYoutubeに上げたりされていましたが、昨年よりサブスクにも音源を投下し始め、ソロアルバムへの動きも本格化してきたのかなと感じています。
 この辺の動きが加速してきた背景にある心境や、音楽的な変化などがあれば伺えますか?
 
C. Karter:
まず"PUNISHMENT" "PLAYBACK" "GREEN"の3曲がそれぞれシングルで出たんですけど、これはずっと一緒にいるDJ mondenが、
ソロの動きをサポートしたいからまず3曲作ってみようよって言ってくれて。
で、3曲のトラックをDJ KRUTCHくんって先輩が作ってくれて。
この3つのシングルは、自分の中でちゃんとした商品を作るって位置付けでした。
 
それまでの自分は90'sリスペクトなのもあってか、セッションして良いのが録れたらOK、みたいな感じだったんですけど、
きちんとパッケージングされたものとして作ってみよう、という感じでした。
 
 
─大前提として、これらのシングルがアルバムにも収録されることになるのでしょうか。それともまた別の位置付け?
 
C. Karter:
また別ですね。
この3枚はC. Karterってこういう奴だぞ、っていう挨拶代わりのやつで、アルバムには入らないです。
 
アルバムを作るうえでのコンセプトや、自分のラッパー像みたいなのが固まってきたんで、それに沿った曲をアルバムには入れます。
最新曲の"LAZY WALK"は入りますね。
 
 
─ではその最新曲となる"LAZY WALK"(2020年9月)について教えて下さい。
 まず構成として、ラップのヴァース以上にブリッジが多く配置されていて日本のHIPHOPにおいては珍しい構成になっています。
 この辺りの着想はどこから?
 
 
C. Karter:
まさにそこ、それに気付いて貰えて良かったって思いました笑
自分ってラップが好き過ぎて、友達と遊んだりしても平気で6時間フリースタイルしちゃうとかあるんですよ。
そんな中で段々音と言葉の繋がりが見えてきた気がしていて、カッコ良いものとか、トリッキーなものとかをシンプルに聴かせるにはどうしたら良いかって考え始めたんです。
 
そんな時に、J-PopってAメロ、Bメロ、サビ…って分かれてるじゃないですか。
それと同じように、あるいは自分がバンドで曲を作るときと同じように、「ヴァースとHOOK」って分けずに、
Aメロ、Bメロ、サビ…みたいな構成で纏めてます。
HIPHOPとして聴くと変わった構成なんですけど、J-Popとかで日本人の体に馴染みがあるスタイルで聴けるようにすることを意識してます。
だから変わった構成だと思ったりしつつも、何か違和感なく聴けちゃうと思うんですよ。
 
友達とかに他の曲も含め聴かせると、よく「これ、何人で歌ってんの?」って言われるんですけど、
それは低音、高音、歌、みたく同じ曲の中でスタイルを変えてるからで。
でもそれがJ-Popの構成だってなると、Aメロで低く歌って、Bメロで高く歌って…みたいなのって別に違和感ないじゃないですか。
そういう部分を、自分のバンドでの制作経験とかから引っ張ってきてます。
だからアルバムの他の曲も最後は歌って終わるやつとか、色々ありますね。
 
 
─この曲はトラックもダンスビートで特徴的ですね。
 
C. Karter:
これはBEATSTARSで買ってきました。
アルバムで使う他の曲も大体はこうして買ってきてますね。
 
そこはちょっと意識してそうしてて。
タイプビートを使うって言うと、みんな曲作りのときに意識すると思うんですよ。
「Travis Scott Type Beat」って書いてあったらそれっぽく寄っちゃうみたいな。
逆にそこをオリジナルに乗れれば面白いじゃんと思って。
 
これはなんか、Snoop (Dogg)がやってるGGNって番組があって。
フリースタイルしたりする番組なんですけど、それにMac Millerが出た回で、Mac Millerが「俺フリースタイルとか出来ないから(やりたくないから)」って言ったんですよ。



そのときのSnoopの返しが…俺の聴き間違いかもしんないんですけど、「こういうクラシックのビートは今の俺達が乗るから生き続けるんだ」って言ってて、かっけーって思った。
その意識でタイプビートも買って、俺のスタイルで乗ってますね。
例えば"LAZY WALK"はSki Mask the Slump Godのタイプビートなんですけど、別に多分知らずに聴いたら分かんないじゃないですか、俺の乗り方で乗ってるから。
これがやりたいことです。
 
タイプビート文化が出来て、地方に住んでてトラックメイカーの知り合いがいないような奴でも、自分好みのビートを探して乗れるようになった。
(タイプビート文化には)良いとこしかないと思いますね。


ソロアルバムに向けて。ラッパーがヒーローであるということ。
 
─"Playback"(2020年1月)はレゲトンの匂いもするビートが印象的です。
 ボーカルもそれに合わせた歌い上げに変化させてる辺りが流石ですが、この方向性の曲を作ろうと思った狙いは?

 
C. Karter:
この曲の場合はHOOKのところで…Ed Sheeranの"Shape of you"の情景が浮かんできて。
その曲の内容が「クラブに行って女の子に酒を奢るのが大事だぜ」って曲だったんで、内容もそっちに合わせにいった感じです。
俺なりのチャラい歌ですね、あんまり普段はそういうの苦手なタイプなんですけど笑



ちなみに"Playback"って曲名には裏話があって。
"Playback" "PUNISHMENT" "Green"の3曲は9sari studioでDJ GATTEM(a.k.a. LORD 8ERZ)さんと録ったんですけど。
それまでバンドとかでレコーディングしてたときは、録り直すときは普通に(エンジニアさんに)「録り直すね」って言われてたんですけど、
GATTEMさんとやったら初めて「今のとこプレイバックするね」って言われて…。
曲の内容も楽しかったあの時をもう一度、って話だし、なんか印象的だったんで、このタイトルにしました。
 
 
─その一方で"Green"(2019年11月)は"Playback"とは別の方向で開放的にレイドバックしたトラップビートが印象的です。
 こちらについても、方向性を伺えますか?


C. Karter:
これは完全にフリースタイルで作った曲ですね。
ビートを貰って普通にフリースタイルしたのを送ってみたら、mondenやKRUTCHくんに「おお良いじゃん」って言われたので後は細かいとこだけ書き直して出来た感じです。
このビートならこんな感じでしょってやったのが上手くハマりましたね。
ただ、この3曲は(さっきの話にも出た通り)きちんと3曲を商品として作る、ってスタンスで始めたものなので、フリスタのあとに内容はきっちり詰めましたけど。
 
 
─こうしてみると、シングル第1弾の"PUNISHMENT"(2019年10月)を含め、全てビートの類もラップアプローチも異なります。
 アルバムもこの感じで、多様なジャンルとアプローチの詰まった作品になりそうですか?
 
C. Karter:
そうですね。
アルバムを作るときの自分のスタンスとして、カーターってのはこういうラッパーなんだっていう像がこないだかっちり見えたんですよ。   
それを思ったのが…こないだASAP Mobのライブを観てた時に、客の反応がなんかもうラッパーというかヒーローが出てきたみたいな感じなんですよ。
そこにSchoolboy QやTyler the Creatorが出てきたらまた別のヒーローが登場したみたいに沸く。



それを見て、「ラッパーとはヒーローであるべきだ」って思ったんです。
日本でも友達のIDとか、普段は凄く影潜めてるけどステージに立つと振る舞いがヒーローだし、
名古屋にはAKさんがいて、横浜にはMACCHOさんがいて、新宿には漢さんがいて、自分の今住んでいる練馬には悪のカリスマ的な感じでD.Oさんがいる。
自分もそういう存在に、ヒーローにならなきゃって思った。
 
それを踏まえると"LAZY WALK"はアルバムの冒頭に来ると思ってて。
どういうことかって言うと、あの曲はニンジャ・タートルズがヒーローなのに下水管に住んでるような、そんな境遇のイメージを持って書いたんです。
自分はバトルでキレてるイメージや、「90'sのBoombapが好きなんでしょ?」みたいなところから認識がアップデートされてない。
その、自分はヒーローになりたいけどなり切れてない、そんな曲として書きました。
 
2曲目からはヒーローが「そんな技もあるんだ」っていう技を出したり、ヒーローとして認知され、ヒーローになっていく…なったところまでの曲が出来てて。
自分もそうなろうっていう想いが出たアルバムになってます。
 
だから映画的な作品をイメージしてます。
静かな部分があったりアメコミ的なアクションがあったりみたいなのが音にも表れるような…色々面白いものになると思います。
 
 
─なるほど。アルバムの出る時期は決まってるんですか?
 
C. Karter:
アルバム自体は年内とかには出来るかなって感じです。
ただ、それと併せてMVを撮ってから出すか、先にアルバムだけ出すか…みたいなとこで今後ちょっと変わるかもしれないですね。
 
 
─その一方で、C.Karterさんはミクスチャーバンド・Screech in2 the Rain.のヴォーカルという全く別の側面もあります。
 ラッパーとミクスチャーバンドのヴォーカルという立ち位置が、互いの音楽性に影響している部分も大きいですか?
 
C. Karter:
そうですね…ラッパーとしてのライブを観たバンドの仲間から、「バンドでもあれくらいラフにやって良いんじゃない」みたいに言われたりってことはあります。
曲作りにしても"LAZY WALK"しかり影響してたりはするんですけど、どっちかと言うと活動する際のスタンスに影響してることの方が多いかもしれませんね。
 
例えばバンドでイベントに出るときとかの企画の作り方なんかをラッパー側に持ち込んだり、
逆にHIPHOP的なパーティーなスタンスをバンドにも持ち込んだりとか。
 
 
─「ヴィジュアル系のミクスチャーバンドのヴォーカルでありラッパー」というスタンスはかなり特徴的ですよね。
 
C. Karter:
そこはRIZEのJESSEに影響を受けたりしてます。
HIPHOPとロックを繋ぐのって大変な作業だと思うけど、それをずっと続けててマジで凄いなって思ってます。
でもロックとHIPHOPの穴はちょっと近付いてきたから、もっと遠いヴィジュアル系とかを繋げることが出来れば面白いかなと。
 
やっぱりジャンルって聴き手の人が聴き易く分けるための呼び名でしかないんで。
何の音楽だろうとカッコ良いものはカッコ良い、で良い。
だからこっちはメイクしてるバンドだからこうとか、ラッパーだからこうとかじゃなくて、そういう区切りで失われる勿体ない部分を無くそう、っていう活動です笑
 
明太子パスタみたいに最初は「何その組み合わせ」って思われたものでも、食って美味ければ勝ちなんで。
そういう全部混ぜてようが美味い、みたいなのを追求したいですね。
 
 
─ありがとうございました。

以上 (2020/10/08)
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C. Karter "BLOW OUT"(2020/10/07)



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